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先住民が紡ぎ出すアートの宝庫

Indigenous Art Vancouver

先住民が紡ぎ出すアートの宝庫

この記事は、カナダ先住民観光協会(ITAC)外部リンクタイトルeのウェブサイトに掲載されたものです。

 

先住民にとって、文化や伝統の保存や表現になくてはならない存在となっているアート。そんな先住民が紡ぎ出すアートの宝庫とも言えるのがカナダです。実際、先住民アートは、数千年にわたってカナダ独自の文化を育む重要な役割を果たしてきました。

 

何世代にもわたってこの土地に生きてきた人々の思いをカタチにする先住民アーティスト。自然の中で生きる人々を含め、家族・親族との濃密な関係にインスピレーションを受けて表現活動に取り組んでいます。カナダは、イヌイット、メティス(ヨーロッパ人と先住民の間に生まれた混血子孫)のほか、さまざまな先住民族の多様なコミュニティが600以上あり、つづれ織りのように複雑に絡み合った重層的な文化を生み出しています。そんな奥深い文化を味わう第一歩は、先住民アートの豊かな歴史に触れることから始まります。

 

伝統的な先住民アートは、ムース(ヘラジカ)の毛を使った刺繍やペイントを施したカリブー革コート、鹿革のモカシン、ヤマアラシの針毛でバーチ材に染料を染める「クイルワーク」、麻紐で作ったストラップ、複雑なビーズ細工、色鮮やかな絵画など多岐にわたります。現代の先住民アーティストは、祖先の歴史や遺産を語り継ぐだけでなく、環境問題などカナダに影響を及ぼす問題について、社会的、政治的な批評も反映した作品づくりに取り組んでいます。アートやアーティストの拠点となるコミュニティは、どの州にもありますが、ここでは入門編として主なものをご紹介します。

ブリティッシュ・コロンビア州には先住民が所有・運営するさまざまなアートギャラリーがあります。その1つがパウエル川沿いにあるウインド・スピリット・アート外部リンクタイトルe。水彩画やアクリル画、手刷りのセリグラフで有名なハイダ族出身アーティスト、エイプリル・ホワイトが経営しています。また、北西海岸地域に伝統的な家屋「ロングハウス」をギャラリーに利用しているのは、トフィーノにあるイーグル・エリー・ギャラリー外部リンクタイトルe。彫刻とペイントを施した杉板の外壁に銅箔張りの扉が目印のギャラリーで、オーナーは、アーティストのロイ・ヘンリー・ヴィッカーズです。自ら制作した限定版の版画や絵画、カレンダー、アートカードなどがあります。

バンクーバー島には、かつて先住民コモックス族が住んでいた村がありました。その跡地に建つアイホス・ギャラリー外部リンクタイトルeは、杉の皮を織って作った仮面や帽子、金や銀の宝飾品、木彫り細工など、すべて先住民アーティストの制作による北西海岸の伝統工芸や現代的なアート作品が展示されています。アボリジナル・ツーリズムBC外部リンクタイトルeでは、ブリティッシュ・コロンビア州のアートギャラリーをすべて網羅したリストを作成しているほか、アーティストが作品に対して適切な報酬・評価を受けていることを証明する認証業務も担っています。

 

プリンス・エドワード島州のレノックス島マルペク湾岸にあるインディアン・アート・アンド・クラフト外部リンクタイトルe店には、アッシュ・スプリント・バスケットのほか、陶器、人形など、ミクマク族の伝統工芸品が並んでいます。この地域以外の先住民が手がける作品としては、木や骨、角、石、半貴石などを使った彫刻のほか、バーチ材の工芸品、ミニチュア・ウィグワム(伝統的なドーム型のテント)や、スイート・グラスのほうきなどがあります。

ノバ・スコシア州からは、カナダ東部に暮らすミクマク族出身アーティストによる作品をご紹介します。作品は、その土地、先住民文化、言語、見た目の特徴が生み出す重要性を表現しています。ミクマク族出身アーティストで受賞歴もあるアラン・シリボーイ外部リンクタイトルeは、古代のミクマク族が残した岩絵やクイル織りの伝統に影響を受けた作品を手がけており、アクリルや複合素材を使った鮮やかな色彩の作品を通じて、絆や家族、スピリチュアル、闘争、力といったテーマを探求しています。

芸術表現という意味ではユーコン準州にも豊かな土壌があります。多くの先住民アーティストが世代を超えて受け継がれてきた伝統的なイメージや伝説をモチーフに作品を手がけています。獣の皮・毛皮やビーズを素材にした服から角を素材にした宝飾品、レーブンズテイル織りやチルカット織り、マストドンのアイボリー彫刻に至るまで、多種多様な作品が文化センターや地元のギャラリー、アーティストの自宅で展示・販売されています。詳しくは、ユーコン準州先住民文化・観光協会外部リンクタイトルeのウェブサイトをご覧ください。