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カナダで一味違うキャンプを楽しむ

カナダで一味違うキャンプを楽しむ

キャンパーの楽園として名高いカナダ。そもそもカナダは、人が住んでいる地域が国土のわずか20%にとどまるとあって、テントを張り、焚き火を囲むアウトドアライフにうってつけの場所がたっぷりあります。しかも、キャンプ地を取り巻く風景も、高地に佇む神秘的な湖あり、緑に包まれた森あり、不思議な形の奇岩の近くありと、実に多岐にわたります。もっとも、景色が素晴らしくても、最初から最後まで快適に過ごせて、面倒が一切ないキャンプとなると、ないものねだりでしょうか。ご安心を。カナダは、そんなわがままもかなえてくれます。「テント設営など準備作業はちょっと…」といった面倒くさがりな人から、「大自然の真っ只中で超高級な隠れ家ライフを楽しみたい」というセレブ志向の人まで、カナダのキャンプに不可能はありません。

そこで今回は、カナダ屈指のお薦めキャンプ場はもちろん、贅を尽くしたグランピング施設もご紹介します。

ブリティッシュ・コロンビア州
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州には、以前から新しい形のキャンプが次々に登場しています。そして2019年、また新しいアイデアのキャンプが誕生しました。それが、カルタス・レイク州立公園外部リンクタイトルe内のメープルベイ・キャビンズです。ここは、従来型テントのキャンプから一歩進んだ施設で、州内でも屈指の人気を誇る湖畔の快適なキャンプ場です。バンクーバーから車で1時間半。ウッドキャビンは1棟18平方メートルで、室内には暖房、照明、電源が完備されているほか、ピクニックテーブルのある屋根付きのパティオ(テラス)も備わっています。こうしたキャビンが25棟あり、1棟の収容人数は最大5人。クイーンサイズのベッド、2段ベッド、シングルベッドが設置されています(シーツや毛布などの寝具類、食器、コンロなどは宿泊客自身による持ち込み)。日帰り利用のヒント:公園内には手軽に楽しめるティーポット・ヒル・ハイキングコース外部リンクタイトルeがあり、コース沿いのあちこちに本当にティーポットが隠されています。
ハイキングで汗を流したら、車で25分ほどのチリワックという町へ。この町を訪れたら、ぜひ楽しみたいのが、チリワック・サークル・ファーム・ツアー。ツアーといっても、自分で自由気ままに散策するもので、この地域一帯の多彩な料理や農産物、工芸品などを見て回ることができます。オーガニックな農産物やこだわりの極上チーズから、コーシャ認証(ユダヤ教教義への適合を示す認証)のハチミツ、取れたての新鮮な原材料を生かしたクラフトビールまで、おいしそうなものがきっと見つかります。

カルタス湖 - © Destination BC/Local Wanderer

アルバータ州
アルバータ州のアスペン・クロッシング・カブース・キャビンズで何日か過ごしてみると、文字どおり〝脱線〟した車両を体感できます。アスペン・クロッシングのキャンプ場は、モスレイ(カルガリーから南西方向に車で1時間)という小さな村の近くにあります。そのキャンプ場から少し歩いた林の中に、本物の客車が3両ひっそりと佇んでいて、貨物鉄道が隆盛を極めていた時代を彷彿とさせます。車両はピカピカに磨かれていて当時のままを再現。内部は、高級なホテルの客室を思わせる内装となっていて、キングサイズベッドや食材がそろった簡易キッチン、エアコンが完備されています。1887ディーフェンベーカー・ダイニング・カー・レストランは当時の食堂車を改造したレストランで、金曜ディナータイム限定の特別メニュー「プライム・リブ」が人気。また、1912年築のファームハウスを転用したバーグクイスト・ハウス・タバーンでは、ピザとビールが楽しめます。

マニトバ州
「早くアウトドアで遊びたい!」。そんなアウトドア欠乏症を解消するには、どこに行こうかと悩むことなく、さまざまな魅力があふれるライディング・マウンテン国立公園へ。マニトバ州の州都ウィニペグから北西方向に車で3時間ほどで、カナダ屈指の良質なキャンプ場が満喫できます。宿泊施設は、「マイクロキューブ」と呼ばれる定員2人のおしゃれなキャビン(大きな窓が印象的な10平方メートルのキューブ型キャビン)、木の枠組みをキャンバス素材の布で覆ったテント「ユルト」(太陽光発電の照明・暖房付き)、テントとキャビンを足して2で割ったような「オテンティック」(薪ストーブ付き)から選択できます。日中はバイソンやエルク、ムース(ヘラジカ)を探し、夜はオオカミの遠吠えやアビ(水鳥の一種)の鳴き声を子守唄にぐっすり休む――。そんな自然体験が待っています。

ライディング・マウンテン国立公園 - © Enviro Foto

オンタリオ州
オンタリオ州では、従来のキャンプも各地で楽しめますが、バックカントリーのおしゃれな隠れ家的キャンプスポットもあります。その1つが、カナダ最大の都市トロントから南西に車で2時間、エリー湖北岸にあるロング・ポイント・エコアドベンチャーズ外部リンクタイトルeです。ウッドデッキタイプの区画にテントが設営済みの「ウィルダネス・スイート」は、ガラス戸を開けると、パティオ。清潔なリネン類、屋外シャワーも用意されています。また、別のタイプとして、かまぼこ型の可愛らしいウッドキャビンの「ポッド」と呼ばれる施設もあります。こちらは室内にクイーンサイズベッドとミニ冷蔵庫を完備。すぐ近くのバーニング・キルン・ワイナリー外部リンクタイトルeから仕入れてきたスイート・リーフ・リースリングのボトルを冷やすのにぴったりです。朝の目覚めから夜のワインまでは時間がたっぷりあります。敷地内にはジップライン、ゾディアック船(エンジン付き高性能ゴムボート)のツアー、そして森林が豊富なカナダならではの遊び、斧投げまで他楽しめます。

エリー湖 - © Destination Ontario

ケベック州
カナダ屈指のキャンプ場がそろっているということは、当然、カナダ屈指のカヌー・キャンプ場もあります。そんなキャンプ場の代表格が、カヤック&カバナ。ケベック州のレッド川を舞台に、カヌー、カヤック、SUP(スタンドアップパドルボード)が楽しめます。ゆったりとした流れのレッド川でのんびりと川下りに興じたら、「シェパーズハット」と呼ばれる定員2人の杉材で作られたトレーラーハウスへ。シンプルを極めた安らぎ空間です。また、ミニマリストに好評なのが、「ラ・カバナ」と呼ばれる定員2〜3人のキャビン。大きな窓からは松林が見渡せます。賑やかなモントリオールから車で北西に1時間半。ローレンシャン高原に抱かれた人里離れた環境は、ハイキングやマウンテンバイクを楽しむのに理想的。アウトドアを堪能したら、美しいモン・トランブランにあるスカンディネイブ・スパ外部リンクタイトルeで数時間ゆっくり過ごしましょう。古代から伝承されるハイドロセラピー(水の浮力や抵抗力を利用した療法)にのっとった施術には、数々の効能があります。スパのアウトドアバス、スチームルーム、水風呂、ソラリウム(日光浴室)など多彩な空間でリラックスしながらたっぷり充電できます。

ニュー・ブランズウィック州
2013年にCNNの旅行情報サイトで「世界屈指の風変わりなキャンプ体験」に選ばれたこともある大人限定のリッジバック・ロッジ。ここの売りは、アトランティック・カナダの森に佇む正多面体ドーム状キャビンです。ドーム型キャビンのうち、「スカイビュードーム」と呼ばれるタイプは、屋根が透明で星空観察にぴったり。ベッドで星を数えながら眠る楽しみも。また、「ドリームドーム」と呼ばれるタイプは充実の簡易キッチン、ペレットストーブ、専用バルコニー付きなので、文字どおり夢のようなドームでの快適な暮らしが堪能できます。どちらのタイプも薪を使った風呂が備わっています。全身がつかる深めの浴槽なので、日本人でも満足できるはずです。ニュー・ブランズウィック州のキングストン半島に佇む独特なキャンプ場で、大自然の魅力をたっぷり味わえます。昔ながらのキャンプが好みのキャンパー向けに、ログキャビンも用意されています。1棟はデラックスタイプで、室内には、ワイン樽をそのまま生かした風変わりな洗面台があります。もう1棟は、シンプルなタイプで、薪ストーブが備わっています。ニュー・ブランズウィック州でのキャンプの締めくくりは、車で2時間のホープウェル・ロックス州立公園へ。見どころは世界最大の干満差を誇るファンディ湾。スリル満点のカヤックが体験できます。潮が引くと、不思議な形の奇石が姿を見せ、水辺の生物を探す楽しみもあります。

リッジバック・ロッジ - © Tourism New Brunswick

ユーコン準州
せっかくグランピングに出かけるなら、カナダの冬の象徴とも言えるオーロラや夏ならではの現象である白夜の時期に合わせたいもの。ユーコン準州南部にあるノーザン・ライツ・リゾート&スパ外部リンクタイトルeには、オーロラ観賞用にガラス製のシャレーがあり、暖かい室内からオーロラを観賞できます。昔ながらのテントからもオーロラや白夜は堪能できますが、この特製シャレーは足元から天井までガラス張り。クイーンサイズのふかふかのベッドでリラックスしながら、大自然の驚異をもっと快適に楽しめます(もちろん、紅葉狩りや星空観察など1年を通じて素敵な景色を堪能できます)。同施設は、ユーコン準州の州都ホワイトホースから車で20分。森と山に囲まれた自然豊かな環境にあり、食事はシェフが腕に寄りをかけた逸品。ファミリーでも楽しめ、スパやサウナの施設もあります。


カナダのグランピング施設やキャンプ場を楽しむヒント

  • 現地に向かう前に、現地に備わっているもの、自分で持ち込むものの確認を。寝具類、タオル、洗面用品、調理器具などの有無のほか、施設内や周辺で食事ができる場所の有無も確認しておきましょう。
  • 施設によっては、特定の季節限定の営業だったり、晩秋から春にかけて縮小営業になったりします。
  • いわゆるクワイエットタイム(明かりを消して静かに過ごす就寝時間)や施設の規則を厳守しましょう。
  • グランピングでもキャンプでも、あらゆる天候に備え、防寒着や防水性の衣類を忘れずに。
  • カナダの公園内にあるキャンプ場・宿泊施設は早いうちに予約が埋まります。国立公園については、予約やパークパス(利用券)の購入については、https://reservation.pc.gc.ca/外部リンクタイトルeをご覧ください。州立公園での予約については、各州のウェブサイトをご覧ください。混雑する週末を避け、なるべく平日に利用しましょう。
  • キャンプファイヤーが許可されているかどうか確認し、火を使ったら、完全に消火したことを確認してからその場を離れましょう。
  • テントの外やテント内に食品・食材を置きっぱなしにしておくと、クマなどの野生動物が近づいてくることがあります。
  • 自分で持ち込んだものは、現地に残さずにすべて持ち帰りましょう。
  • 可能であれば、自然を必要以上に破壊しないため、整備済みのハイキングトレイルやサイクリングコースから外れないようにしましょう。
  • カナダの大自然、素晴らしいアウトドアを楽しむために、快適さをあきらめる必要はありません。大自然を味わいつつも、利便性や快適さも生かしたい――。そんないいとこ取りが楽しめるキャンプ場やグランピング施設でアウトドアを楽しんでみませんか。