春のバンフ国立公園は、スキー客で賑わった町も少し落ち着きを見せ、日も長くなり、山はおいしい空気でいっぱいになります。そんなバンフ国立公園を満喫するハイキングは気分爽快。自然に遊び、エネルギーをチャージし、若返りにも効果的です。最高の体験を味わうポイントは自分のペースで、無理のないハイキングをすること。バンフの町を拠点に自分の能力に合わせたコースを選ぶことができます。重ね着できる服とトレッキングブーツを引っ張り出して、バンフ国立公園の春ハイキングの準備にとりかかりましょう。
バンフとルイーズ湖の春を味わうファミリー向けハイキング
春は家族そろって冒険気分で歩き回り、エネルギーを大いに消費できる健康づくりのチャンスです。そこで素敵な景色が楽しめるファミリー向けハイキングコースをご紹介します。
1. ボウ川トレイルでボウ滝を味わうハイキング
バンフで難易度が一番低いハイキングコースです。「ボウ滝トレイル」は、全長1.2キロながら見どころがたくさんあります。バンフのダウンタウンでおいしいラテやアイスクリームを楽しんだ後、すぐに現地に向かうことができるのが、このコースのメリット。歴史あるボウ川橋を渡って出発します。木々の生い茂った川沿いのトレイルは、よく晴れた日でも空気はひんやりしています。やがて味わい深い木製階段を上がっていくと、木よりも高い位置にたどりつきます。ボウ滝は、いく筋にも枝分かれして横に広がりながら落ちるタイプの滝。滝を見下ろすベストスポットから絶景を写真に収めたら、今度は滝の下まで移動して、癒しのミストを全身に浴びてみましょう。
2. ルイーズ湖湖畔の散策
静かなルイーズ湖湖畔には、カナダカケスのさえずりが響き渡り、他のハイカーたちの話し声も聞こえてきます。こんな景色が山頂まで続きます。全長2キロのトレイルはまるで時間が止まったかのように静まり返っています。林の中を縫うように進むと、やがて湖畔の終わりに広がる原野が見えてきます。広大な湖がくびれた辺りに亜高山帯らしい森が広がり、滝が目に飛び込んできます。振り返れば山々に抱かれたシャトー・レイク・ルイーズの姿。絵葉書のように美しい景色は必見です。
フェンランド・トレイルのハイキング
森に囲まれたオアシスと呼ぶにふさわしいフェンランド・トレイル。賑やかなバンフのダウンタウンからすぐそばにもかかわらず、気分はまるで別世界です。このトレイルは、全長2キロの小川沿いの散策道が環状に整備された歩きやすいコースで、案内標識が随所に設置されています。途中にいくつか見られる橋は、まるでおとぎ話に出てきそうな佇まいです。トウヒの原生林、鳥のさえずり。そんな環境に包まれていると、バンフ国立公園の鼓動さえ伝わってきそうです。一周してフェンランド・トレイルヘッド(トレイルの起点)に戻ってきたら、しばらく舗装の歩道を進めば、ボウ川沿いのトレイルにつながり、そのまま行くとバンフのダウンタウンに到着します。
トレイルでちょっと飽き気味のちびっ子をモノで釣るのはあまりほめられたことではありませんが、マリーズ・ポップコーンやロッキー・マウンテン・チョコレート・ファクトリー、ファッジリー、バンフ・スイート・ショップ、マウンテン・チョコレーツなど、おいしいお店がゴールとわかったら、きっとがんばって歩いてくれるはず。もう少しグレードアップするなら、カウズ・アイス・クリームやビーバーテイルズも追加してみると効果的かもしれません。
バンフとレイク・ルイーズで手軽に楽しむ短距離の春ハイキング
本格的なハイキングの前にお手軽ハイキングでウォーミングアップしましょう。まずはおやつの調達から。ワイルド・フラワー・ベーカリーで、あるいは街のほかのカフェでおやつを手に入れたら、もう半分終わったようなもの(あとは歩くだけ)。バンフやレイク・ルイーズの周辺でお薦めのお手軽ハイキングコースをご紹介します。
1. スプレイ川イースト(トレイルヘッドから出発)
2. サンダンス・キャニオン
3. トンネル・マウンテン頂上
4. ボウ川ループ(レイク・ルイーズ)
バンフとレイク・ルイーズの中級向け春ハイキング
春は、ハイキングに出発するかどうかの見極めが難しい季節。地域によっては夏ごろまで雪に閉ざされていることもあります。日差しで雪が温まると危険な状態になるため、標高の高いところは避けましょう。足慣らしがてら低山ハイキングで素敵な景色を発見するのも楽しいものです。
1. サプライズ・コーナー〜フードゥーズ・ビューポイント
2. ストーニー展望台
3. サルファーマウンテン
4. サンシャイン・メドウ(スノーシュー、バンフ郊外)
5. ブームレイク(アクセスはハイウェイ93 Southで)
バンフやレイク・ルイーズの春ハイキングに最適な時間帯
春はバンフ国立公園を訪れるのにお薦めの季節。せっかくのハイキングを最大限に楽しむには、早い時間からトレイルを歩きましょう。ヘッドランプを忘れずに。日の出とともに出発すれば、動物たちの姿を目にできるかもしれません。また、早朝以外では、午後遅めの出発によるサンセットハイキングも可能です(ただし天候次第)。コースを決めたら、ビジター向けサービスの専門業者などに、お薦めの時間帯を相談しましょう。
バンフやレイク・ルイーズの春ハイキングに携行したい装備
春ハイキングは、さまざまな条件が考えられます。春とはいえ、緑の草原はまだ時期尚早で、凍結のある雪道や固く締まった雪、ぬかるみなども残っています。あらゆる季節や天候を想定した服装・装備を心がけてください。そこで春ハイキングに持っていきたいお薦め装備をご紹介します。
携行したい装備:水、クマ撃退スプレー、日焼け止め、サングラス、靴底用滑り止めスパイク、帽子・手袋、カッパ、ウィンドブレーカー、救急セット、ヘッドランプかフラッシュライトと予備電池、トレッキングポール(登山ストック)、緊急用の予備の防寒衣類、携帯電話・緊急用衛星通信機器、カメラ
安全第一
カナディアン・ロッキーの春の天候は変わりやすいものです。気温が変化すると、雪が危険な状態になります。コース選びの際には、国立公園管理局(パークス・カナダ)のウェブサイトでトレイルの状況をご確認ください。気象状況を確認し、状況に応じて安全なハイキングコースを選びます。ハイキング中に音楽に没頭するのは禁物。野生動物が目を覚ましているので、周囲への注意を怠らず、ヘッドフォンも外しましょう。
バンフ国立公園での春のハイキングや散策は、わくわく感にあふれ、新たなエネルギーをもらえるチャンスです。うららかな春の日差しを楽しむのにうってつけの時期とはいえ、油断は禁物です。ハイキングコースを選ぶときは、十分に事前調査を重ね、しっかり準備したうえで春ハイキングを満喫しましょう。