日本で「鮭」と言うと、それは大抵「シロザケ」という種類のサーモンを指してきました。本州の川に遡上する「鮭」のほとんどが「シロザケ」だけだったからです。北海道ではベニザケやカラフトマスといった種類も遡上しますが、古くから新巻鮭などに加工されてきた「鮭」と言えば、それは「シロザケ」のことでした。
一方カナダには、実に6種類ものサーモンがいます。①マスノスケ=チヌークサーモンまたはキングサーモン②ギンザケ(銀鮭)=コーホーサーモン③ベニザケ(紅鮭)=ソッカイサーモン④シロザケ(鮭)=チャムサーモン⑤カラフトマス=ピンクサーモンの5つ。これに大西洋側に生息する⑥タイセイヨウサケ=アトランティックサーモンが加わります。
カナダ太平洋岸には、春から秋にかけてアトランティックサーモンを除く5種類のサーモンが次々と遡上してきます。例えばバンクーバーの南、スティーブストンという港町に河口を持つフレーザー川には、毎年ベニザケ(ソッカイサーモン)がたくさんやってきます。産卵を前に体を真っ赤に染めたベニザケが川面を埋め尽くす姿は「サーモン・ラン」と呼ばれ、4年に1度、遡上数が多い年は特に「ビッグ・ラン」と言われます。
日本のスーパーでもキングサーモン、ギンザケ、ベニザケ、アトランティックサーモンを見ることができますが、それは輸入または養殖ものです。また、最近目にする「トラウトサーモン」とは、川にいるニジマスの一種を海などで大きく育てています。だから「トラウト(鱒)サーモン(鮭)」と呼ぶのです。カナダには6種類ものサーモンがいるので、レストランでサーモン料理を楽しむ時は気を付けてメニューを見てください。日本の「鮭」「サケ」「シャケ」とは違い、メニューには「ソッカイ」「コーホー」などと、しっかり種類の違いが記載されています。カナダにいる6種類もの天然サーモン。旅をしながら、ぜひ食べ尽くしてみたいとは思いませんか?