カナダ東部の大西洋に面したノバ・スコシア州とニュー・ブランズウィック州。港町が伝える遠洋航海のロマンと、小さな町や村に息づく入植者たちの想い。それぞれの土地や史跡に物語があり、そこはコミュニティの一体感に溢れています。カナダ入植の歴史に触れて、世界一の干満差を誇る湾で自然の驚異を体感したら、地元の絶品シーフードに舌鼓を打つ。そんな一章がいくつも連なり、オムニバスとなって繋がっていくことに気づくでしょう。数々の感動がひとつの物語となり、心が繋がるユネスコ回廊を辿ってみましょう。
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アトランティック・カナダ ユネスコ回廊
アトランティック・カナダの魅力を象徴するのが、ユネスコ回廊。
カナダの大西洋岸3州(ニュー・ブランズウィック州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド&ラブラドール州)に、ユネスコ(UNESCO)が指定する13の史跡(7つの世界遺産、3つの世界ジオパーク、3つのエコパーク)が点在します。 独自の景観、豊かな文化的歴史と多様な見どころのネットワークを形成しています。
前編
後編
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ジョギンズ〜モンクトン
Joggins - Moncton
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ホープウェル・ロックス州立公園〜アルマ
Hopewell Rocks Provincial Park - Alma
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セントマーティンズ〜セント・ジョン
Saint Martins - Saint John
動画を見てクイズに挑戦!
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ジョギンズ~モンクトン
Joggins – Moncton
3億年前の 化石が出る断崖へ
グラン・プレでアカディアン追放の歴史、そして独特の環境のワイナリーに触れましたが、そこで重要な存在となったファンディ湾。旅の後半は、ノバ・スコシア州とニュー・ブランズウィック州に挟まれた世界最大の干満差を誇るファンディ湾の凄さと奥深さに迫ります。まずは、ユネスコ世界遺産のジョギンズ化石断崖を目指します。
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グリーン・オークス
Green Oaks
その前に、世界で最も高い潮流の力を体験できるグリーン・オークスへ。ここは、ファンディ湾からの水が浅瀬のシュベナカディ川水路に流れ込み、波が発生します。そして波が通り過ぎた後、川は方向を反転させ、時速30キロ近いスピードで内陸に向かって流れ始めます。この現象を「タイダルボア」と呼びます。浅瀬に押し寄せる大量の水のせいで、1.2~3.6メートルの急流ができるのです。この圧巻の自然現象を特注のゾディアックで楽しみます。地元のラフティング会社「Fundy Tidal Bore Adventures」のオーナーのモーガン・マクドナルドさんはこの自然現象に魅了され、20年以上ガイドを続けている経験と知識が豊富なガイドです。初心者でも安心して、エキサイティングな潮の満ち引きを体感することができます。
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ジョギンズ化石断崖
Joggins Fossil Cliffs
続いて向かうのはユネスコ世界遺産「ジョギンズ化石断崖」です。海岸沿いの15キロにもおよぶ断崖は、約3億年前の石炭紀の岩石が露出しており「石灰紀のガラパゴス」と呼ばれています。太古の化石が見つかる理由はカンバーランド湾に押し寄せる潮の干満です。この潮の干満は1日2回、最大で約13メートルも上下し、常に新しい壁面を露出させていることで、多くの化石が発見されています。また、この崖には地下水がたくさんあり、冬になると凍結と融解を繰り返すことで大きな亀裂が生じ、崖が不安定になること、そして春やハリケーンの季節の降雨による崖の浸食も多くの化石が発見される原因になっています。
ジョギンズでもうひとつ知っておきたいのが炭鉱の歴史です。ジョギンズは、かつては炭鉱として栄えていました。入植したフランス人やイギリス人たちは採掘された石炭を世界中に送っていました。奥深いジョギンズの歴史と物語。ジョギンズ化石センターでは、それらを解説する展示も充実しています。
かつては炭鉱として、そして現在は世界で唯一無二の化石が見つかるユネスコ世界遺産の場所として、新しいコミュニティとしての存在感を放っています。
ジェイド・アトキンス Jade Atkins
ジョギンズ化石研究所
Joggins Fossil Institute
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ジョギンズ化石断崖の奥深さを私たちに教えてくれるのが、ジョギンズ化石研究所のジェイド・アトキンス博士です。彼女はもともと医師を目指していましたが、大学在学中に進化論のコースを受講し、化石について勉強するうちに、この分野に興味がわき、結果的にもうひとつの"ドクター"である古生物学者になりました。彼女は豊富な知識だけでなく、大人から子供まで誰でも楽しく、分かりやすく断崖について解説をし、海岸を歩きながら足元にある化石を見せて説明してくれます。もしも足元の石が化石じゃないかと思ったら、迷わず彼女に聞いてみましょう。
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モンクトン
Moncton
ノバ・スコシア州から州境を超えてニュー・ブランズウィック州第二の都市モンクトンへ。この街は、アトランティック・カナダの中でも内陸の中心に位置し、鉄道や交通のハブとしての役割から「ハブシティ」という愛称で呼ばれています。1963年にフランス語で学ぶモンクトン大学が設けられ、ニュー・ブランズウィック州内のフランス系住民の文化、教育の中心になっています。
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プティコーディアック川
Peticodiac River
モンクトンの中心にあるブーワー公園の前を流れる茶色い河川のプティコーディアック川。ここは1日に2回、潮の満ち引きによって大きな波が押し寄せ、それが川の流れにぶつかるのを見ることができる場所です。かつてこの土地に暮らす先住民ミクマク族は、この川を狩猟地に行くための手段として利用し、潮が満ちるとその川を通って戻ってきました。そして今では巨大な波に乗ってサーフィンをするため北米全土のサーファーがやってきています。形は違っても、この潮の干満は何世紀にもわたって利用されています。川沿いのボワ公園では、観覧席に座って干満を眺めることができます。
ジェニファー・ディングマン Jennifer Dingman
ファンディ・エコパーク
UNESCO Fundy Biosphere Region
ストーンハンマー世界ジオパーク
Stonehammer UNESCO Global Geopark
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ファンディ・エコパーク(UNESCO Fundy Biosphere Region)とストーンハンマー世界ジオパーク(Stonehammer UNESCO Global Geopark)の両方で、エグゼクティブ・ディレクターを務めているジェニファー・ディングマンさん。彼女はニュー・ブランズウィック州の生物圏で、人々が徒歩やハイキングで楽しむことのできる美しい場所を紹介する「アメージング・プレイス」プロジェクトの主導者のひとりです。地域の人々の意見を聞き、地域参加型のプロセスを通じて、現在では50のサイトがリストアップされています。彼女はこのプログラムを通して、各地域コミュニティが自分たちで推奨した場所を、自分たちで維持しながら提供していることを多くの人に伝えています。
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ユネスコ回廊は、大西洋岸の複数の州、さらに多くの自治体を取り込んだ観光プログラムですが、アメージング・プレイスはその象徴的な存在かもしれません。明日はファンディ湾の自然の驚異を体感できる、ホープウェル・ロックス州立公園を目指します。
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ホープウェル・ロックス州立公園 ~アルマ
Hopewell Rocks - Alma
ファンディ湾で 世界最大の干満差を体感
この日は早起きをして、世界最大の干満差を五感で楽しめるホープウェル・ロックス州立公園を目指します。ここでは半日かけて、ファンディ湾の異なる世界、干潮と満潮をどちらも体感します。さらにファンディ湾が作り出す、豊かなコミュティへ足を延ばします。
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ホープウェル・ロックスの午前
Hopewell Rocks in the morning
入口には干潮と満潮の予想時間が表示(※干潮と満潮の時間は訪問日により異なります。事前にウェブサイトで干満カレンダーを確認することができます)されています。公園のインフォメーションセンターを抜けて、階段から海底へ。そこには壮大なフラワーポットロック(花瓶岩)、何千年もの歳月をかけて岩が侵食されて形成された独特の地形が広がります。実際に歩いてみないと分からない足元の感触に驚きます。少し柔らかく、"泥"を感じる地面を散策。1時間に約1.8メートルも潮が満ちてくることが最初は想像もつきません。
素晴らしい海底の景観の中で、ひと際目立つ岩があります。それは「恋人たちのアーチ」と呼ばれるアーチ形の岩。そう呼ばれる理由は2つあります。ひとつは数年に一度、干潮時にここで結婚式が行われること。もうひとつは、岩の反対側から見ると、大きな亀裂が見えますが、まるで2人がキスしているように見えるからなのです。世界中からやってきた多くの旅人のとって、ここは特別な場所として記憶に刻まれることでしょう。さらに海底を歩いていると、複数の海藻が育ってることに気づきます。気泡を含み潮が満ちてくると水面に浮かび上がる「ヒバマタ」や、ゲル化剤として最も使用されるカラギーナンを豊富に含んだ「岩藻」など、ファンディ湾の力はさまざまな所で活かされています。
海底での大冒険。自然の驚異への興味が尽きませんが、海底で散策を満喫していると、目の前の海底が少しずつ狭くなっていくことに気づきます。そして州立公園のスタッフによる、ビーチから立ち退くように指示する声が聞こえてきます。ほんの少し休憩しましょう。
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ホープウェル・ロックスの午後
Hopewell Rocks in the afternoon
午後になり、同じ階段を下りるとそこには全く別の世界が広がります。あっという間に潮が満ちた圧巻の景色です。潮風と波の音、水面に反射する光を見ていると、その生命を宿っているかのような自然の驚異に圧倒されます。さっき自分が歩いた場所で、海底の上を進むなら、ガイド付きシーカヤックツアーに参加することがおすすめです。フラワーポット・ロックの壮大な海食柱の近くを漕ぎながら、ファンディ湾の巨大な潮の驚異的な力と美しさを直接体験することができます。初心者には難しいと感じる方でも心配はいりません。安全なライフジャケットを着用して、簡単なインストラクションを受けたあとに満潮の湾へ出発します。経験豊富なガイドが伴走してくれるので、安心して体験できるのです。
わずか6時間の間に体験する奇跡のような自然体験。一生忘れられない思い出になることでしょう。
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アルマ
Alma
アットホームな雰囲気に包まれた小さな村アルマ。さまざまなシーフード・レストランがあることで有名です。ファンディ国立公園に近いことから、アルマには夏になると多くの観光客が訪れ、ハイキングやカヤックを楽しみます。ファンディ国立公園の自然アクティビティ、そしてアルマの港を拠点とするロブスター漁は、この小さな町を支える重要な産業となっています。
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アルマ・ロブスター・ショップ
Alma Lobster Shop
この居心地の良い小さな町では世界一のロブスターを味わえます。「Alma Lobster Shop」は、1960年に創業した、三代続く漁師による、家族経営のシーフードレストランです。ファンディ湾の冷たい水で育てられた、世界最高級のロブスターを一年中提供しています。
店内の水槽にはユニークな海水生物がいて、独自のシーソルトも製造しています。店員は訪れる客と旧知の知人のように楽しく会話を交わします。さらに、レストランで実際に味わうロブスター。肉厚で食べ応えがあり、まさに世界一と呼ばれるのも納得できます。私たちが幸せな顔でロブスターを味わったとき、オーナーやスタッフも本当に誇らしげな顔をします。自分がコミュニティに歓迎された気持ちになります。
ロドニー・マクドナルド Rodney MacDonald
アルマ・ロブスター・ショップ
Alma Lobster Shop
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ロブスター漁師として40年間漁業を続けながら、ロブスターショップのオーナーとして活躍。彼は、最高級のロブスターを扱いながらサステナブルな意識も忘れていません。ファンディ湾は潮の流れが速く、潮の抵抗が大きいと、ロブスター漁は厳しくなりますが、長期的には乱獲を防ぐことになり、結果としてサステナブルな漁業になると考えています。彼は、若い頃から今の奥様の父親が経営するロブスター・ショップで働いていますが、ここで本物の家族経営のビジネスを展開しています。そして彼は自分たちだけではなく、この町の暮らしを良くするために、雇用を生み出しています。根底にあるのは"コミュニティ"の意識です。
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ホープウェル・ロックス州立公園で体感したファンディ湾の迫力、そしてアルマで味わった絶品ロブスターと温かいホスピタリティ。必ずもう一度この場所に戻ってきたいと感じるのは自然なことでしょう。もう十分に幸せな気分ですが、もう少し足を延ばして、ファンディ湾の魅力を辿ります。
ここもチェック!
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High Tide Restaurant
朝の干潮から午後の満潮まで、ゆっくりくつろげる場所。ホープウェル・ロックス州立公園の館内にある「High Tide Restaurant」は、地元の新鮮な食材を使った料理を提供するフルサービスのカジュアルレストランです。ダイニングデッキからはファンディ湾の景色を一望でき、地元のロブスター料理や地ビールを味わうのに最適な場所です。
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Fundy Coast Sea Soap
ファンディ湾はミネラルや天然アミノ酸を豊富に含む海水を提供していますが、その自然の恵みをお土産にするなら天然ソープがおすすめ。中には泥の成分を含んだものも。アルマの小さなギフトショップでお気に入りのソープを探してみましょう。
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セントマーティンズ~セント・ジョン
St. Martins - Saint John
海の洞窟と屋根付き橋、 そして温かいコミュニティ
6日目。アルマで人々の温かさに触れ、コミュニティの力を感じた私たちが次に向かうのは、ストーンハンマー世界ジオパークに位置する小さな町セントマーティンズ。ここはかつて造船の中心地でした。1800年代の初めは東海岸全体で3番目に大きな造船港で、この小さなコミュニティで500隻以上の船が建造されました。潮の満ち引きが船の建造、そして進水を容易にしていたのです。現在は、フォトジェニックな2つの屋根付き橋で多くの観光客で賑わい、個性豊かな観光地として機能しています。
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屋根付き橋
Covered Bridge
ニュー・ブランズウィック州を旅していると目にする屋根付き橋。屋根付き橋はカナダの冬の厳しい寒さから橋を守り、橋の寿命を延ばす役目がありますが、それぞれに物語があります。そして、交通手段としての役割はもちろん、冬にはイルミネーションに彩られたり、コミュニティにとって大切な場所なのです。ちなみに屋根付き橋は「キスの橋」と呼ばれていますが、カップルたちにとってもロマンチックで特別な場所。数あるニュー・ブランズウィック州の屋根付き橋の中でも、ここセントマーティンズは2つの橋を同時に見れることで有名です。さらに2022年9月、セントマーティンズのヴォーン・クリーク屋根付き橋は、2車線の木造屋根付き橋に建て替えられました。この橋は州内で唯一、北米でも珍しい2車線の屋根付き橋です。たくさんの角度から写真を撮影したくなります。
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シー・ケイブ
Sea Cave
セントマーティンズの町のすぐそばに、世界ジオパーク「ストーンハンマー世界ジオパーク」を代表する場所のひとつ、「Sea Cave」という海食洞があります。ここはロックハンター、バードウォッチャー、自然愛好家たちを虜にする場所で、砂岩の洞窟はファンディ湾の潮の満ち引きによって削り取られたもの。洞窟へ近づくと、その神秘的な自然美に迫ることができます。ガイドが湾の自然史について語るのを聞きながら、砂浜で宝物を探してみるのも良いでしょう。また、満潮時にカヤックでパドルを漕いで、何百万年もの歳月をかけて削り出された、赤い岩の断崖の海岸線を眺めてみるのもおすすめです。
ここもチェック!
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SHIP YARD CAFE
黄色い建物が特徴の「SHIP YARD CAFE」は、特にこのコミュニティを象徴する場所のひとつです。このカフェでアドベンチャーガイドをする傍ら、共同経営者として経営するのがマーク・カーペンターさん。アドベンチャーガイドとしては、カヤックやハイキング、キャンプを通して、セントマーティンズの自然の魅力を伝えています。このカフェでは家族のレシピが世代を超えて受け継がれ、また、店内には造船や木材伐採の歴史を示す写真もたくさん飾られており、この土地の歴史を伝えています。ここは観光客だけでなく、地元の人々も集まる「コミュニティ」なのです。
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セント・ジョン
Saint John
ファンディ湾の北岸、セント・ジョン川の河口に位置するセント・ジョン。ここは、米国の独立革命後、多くのロイヤリスト(英国王室に忠誠を誓う人)がやってきて築いた街。活気あふれる歴史的な都市の魅力と、ファンディ湾の壮大な自然の魅力が同居するセント・ジョンは、地元市民やクルーズでやってくる観光客で賑わいます。保存状態の良い19世紀の建築物が並ぶ狭い通りを歩き、カフェや地ビール醸造所でリラックスした時間を過ごしましょう。
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セント・ジョン・シティマーケット
Saint John City Market
セント・ジョンのアップタウンの中心にある「セント・ジョン・シティマーケット」は、建物も体験も象徴的な、カナダ最古のファーマーズ・マーケットです。まるで船体を反転させたような形をしたユニークな屋根の下で多彩なお店が観光客を迎えてくれます。地元の住民も観光客も、世界各国の食材や料理、手作りパンやコーヒー、地元アーティストの工芸品に夢中になります。ここではショップの店員と言葉を交わしながら、ローカルな気分を楽しみましょう。
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リバーシング・フォールズ急流
Reversing Falls Rapids
セント・ジョンが、ファンディ湾に面した唯一の都市であることを体験できるのがリバーシング・フォールズ急流です。セント・ジョン川がファンディ湾に流れ込み、潮の満ち引きにより、河口の水が実際に逆流する迫力を目にすることができます。これはファンディ湾とセント・ジョン川の衝突によって生み出される独特な現象。干潮時には、川の水が湾に流れ込み、一連の急流を引き起こします。やがて潮が満ちてくると、潮位差が小さくなるため一時的に緩やかになりますが、湾の潮は満ち続け、徐々に川の流れを逆転させます。急流が再び形成され、満潮時にピークに達します。こんな大きな都市で、ファンディ湾の自然の驚異の一端を体感できるのは驚きです。
大西洋の潮風に導かれて、アトランティック・カナダのユネスコ回廊を辿った旅。どこも魅惑的な自然に囲まれ、多くの物語がありました。その根底にあるのは、新しい世界でより良い生活が送れると信じた移民の精神に通ずる前向きな姿勢。そしてそれらを世界中の人々に伝え、共有しようとする温かさ。旅が終わった時、オープンな心で、未来に向かって進む自分にワクワクする感覚を覚えます。そして新たな旅が始まります。
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ノバ・スコシア州 /ニュー・ブランズウィック州(前編)
ハリファックス
ルーネンバーグ
グラン・プレ
カナダ大西洋岸地方の文化・経済の中心都市ハリファックスから始まり、カラフルな旧市街に物語が溢れるルーネンバーグ、さらに美しい景観の奥に、ファンディ湾の影響とアカディアンの歴史が感じられるグラン・プレを訪ねます。
その他の物語
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ニューファンドランド&ラブラドール州
カナダ最東端の島で出会う氷河が創った彩り豊かな世界
ニューファンドランド島は、太古の地球を体感できる場所。氷河が大地を削り取った巨大なフィヨルド、地上に露出したマントルなど創成期の地球の姿を目の当たりにします。沖にはゆっくり氷山が流れ、海鳥パフィンが舞い、遠くでクジラが潮を吹き上げる。歴史が薫る街や漁村を歩くと人々の賑やかな声が聞こえ、ニューファンドランド独特の伝統や文化に気付きます。最東端の島でカラフルで幸せな時間を。
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プリンス・エドワード島州
赤毛のアンの島で触れるサステナブルで豊かな暮らし
カナダの大西洋沿岸、セント・ローレンス湾に浮かぶプリンス・エドワード島。名作「赤毛のアン」の舞台となった島として有名ですが、物語で描かれる牧歌的な農村の生活は、今でも息づき、旅人にも真の豊かさとは何かを気づかせてくれます。美しい風景と地産地消の美食を堪能しながら、サステナブルで豊かな暮らしを体験してみましょう。
カナダ東部の大西洋に面したノバ・スコシア州とニュー・ブランズウィック州。港町が伝える遠洋航海のロマンと、小さな町や村に息づく入植者たちの想い。それぞれの土地や史跡に物語があり、そこはコミュニティの一体感に溢れています。カナダ入植の歴史に触れて、世界一の干満差を誇る湾で自然の驚異を体感したら、地元の絶品シーフードに舌鼓を打つ。そんな一章がいくつも連なり、オムニバスとなって繋がっていくことに気づくでしょう。数々の感動がひとつの物語となり、心が繋がるユネスコ回廊を辿ってみましょう。
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アトランティック・カナダ ユネスコ回廊
アトランティック・カナダの魅力を象徴するのが、ユネスコ回廊。
カナダの大西洋岸3州(ニュー・ブランズウィック州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド&ラブラドール州)に、ユネスコ(UNESCO)が指定する13の史跡(7つの世界遺産、3つの世界ジオパーク、3つのエコパーク)が点在します。 独自の景観、豊かな文化的歴史と多様な見どころのネットワークを形成しています。
前編
後編
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ジョギンズ〜モンクトン
Joggins - Moncton
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ホープウェル・ロックス州立公園〜アルマ
Hopewell Rocks Provincial Park - Alma
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セントマーティンズ〜セント・ジョン
Saint Martins - Saint John
動画を見てクイズに挑戦!
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ジョギンズ~モンクトン
Joggins – Moncton
3億年前の 化石が出る断崖へ
グラン・プレでアカディアン追放の歴史、そして独特の環境のワイナリーに触れましたが、そこで重要な存在となったファンディ湾。旅の後半は、ノバ・スコシア州とニュー・ブランズウィック州に挟まれた世界最大の干満差を誇るファンディ湾の凄さと奥深さに迫ります。まずは、ユネスコ世界遺産のジョギンズ化石断崖を目指します。
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グリーン・オークス
Green Oaks
その前に、世界で最も高い潮流の力を体験できるグリーン・オークスへ。ここは、ファンディ湾からの水が浅瀬のシュベナカディ川水路に流れ込み、波が発生します。そして波が通り過ぎた後、川は方向を反転させ、時速30キロ近いスピードで内陸に向かって流れ始めます。この現象を「タイダルボア」と呼びます。浅瀬に押し寄せる大量の水のせいで、1.2~3.6メートルの急流ができるのです。この圧巻の自然現象を特注のゾディアックで楽しみます。地元のラフティング会社「Fundy Tidal Bore Adventures」のオーナーのモーガン・マクドナルドさんはこの自然現象に魅了され、20年以上ガイドを続けている経験と知識が豊富なガイドです。初心者でも安心して、エキサイティングな潮の満ち引きを体感することができます。
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ジョギンズ化石断崖
Joggins Fossil Cliffs
続いて向かうのはユネスコ世界遺産「ジョギンズ化石断崖」です。海岸沿いの15キロにもおよぶ断崖は、約3億年前の石炭紀の岩石が露出しており「石灰紀のガラパゴス」と呼ばれています。太古の化石が見つかる理由はカンバーランド湾に押し寄せる潮の干満です。この潮の干満は1日2回、最大で約13メートルも上下し、常に新しい壁面を露出させていることで、多くの化石が発見されています。また、この崖には地下水がたくさんあり、冬になると凍結と融解を繰り返すことで大きな亀裂が生じ、崖が不安定になること、そして春やハリケーンの季節の降雨による崖の浸食も多くの化石が発見される原因になっています。
ジョギンズでもうひとつ知っておきたいのが炭鉱の歴史です。ジョギンズは、かつては炭鉱として栄えていました。入植したフランス人やイギリス人たちは採掘された石炭を世界中に送っていました。奥深いジョギンズの歴史と物語。ジョギンズ化石センターでは、それらを解説する展示も充実しています。
かつては炭鉱として、そして現在は世界で唯一無二の化石が見つかるユネスコ世界遺産の場所として、新しいコミュニティとしての存在感を放っています。
ジェイド・アトキンス Jade Atkins
ジョギンズ化石研究所
Joggins Fossil Institute
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ジョギンズ化石断崖の奥深さを私たちに教えてくれるのが、ジョギンズ化石研究所のジェイド・アトキンス博士です。彼女はもともと医師を目指していましたが、大学在学中に進化論のコースを受講し、化石について勉強するうちに、この分野に興味がわき、結果的にもうひとつの"ドクター"である古生物学者になりました。彼女は豊富な知識だけでなく、大人から子供まで誰でも楽しく、分かりやすく断崖について解説をし、海岸を歩きながら足元にある化石を見せて説明してくれます。もしも足元の石が化石じゃないかと思ったら、迷わず彼女に聞いてみましょう。
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モンクトン
Moncton
ノバ・スコシア州から州境を超えてニュー・ブランズウィック州第二の都市モンクトンへ。この街は、アトランティック・カナダの中でも内陸の中心に位置し、鉄道や交通のハブとしての役割から「ハブシティ」という愛称で呼ばれています。1963年にフランス語で学ぶモンクトン大学が設けられ、ニュー・ブランズウィック州内のフランス系住民の文化、教育の中心になっています。
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プティコーディアック川
Peticodiac River
モンクトンの中心にあるブーワー公園の前を流れる茶色い河川のプティコーディアック川。ここは1日に2回、潮の満ち引きによって大きな波が押し寄せ、それが川の流れにぶつかるのを見ることができる場所です。かつてこの土地に暮らす先住民ミクマク族は、この川を狩猟地に行くための手段として利用し、潮が満ちるとその川を通って戻ってきました。そして今では巨大な波に乗ってサーフィンをするため北米全土のサーファーがやってきています。形は違っても、この潮の干満は何世紀にもわたって利用されています。川沿いのボワ公園では、観覧席に座って干満を眺めることができます。
ジェニファー・ディングマン Jennifer Dingman
ファンディ・エコパーク
UNESCO Fundy Biosphere Region
ストーンハンマー世界ジオパーク
Stonehammer UNESCO Global Geopark
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ファンディ・エコパーク(UNESCO Fundy Biosphere Region)とストーンハンマー世界ジオパーク(Stonehammer UNESCO Global Geopark)の両方で、エグゼクティブ・ディレクターを務めているジェニファー・ディングマンさん。彼女はニュー・ブランズウィック州の生物圏で、人々が徒歩やハイキングで楽しむことのできる美しい場所を紹介する「アメージング・プレイス」プロジェクトの主導者のひとりです。地域の人々の意見を聞き、地域参加型のプロセスを通じて、現在では50のサイトがリストアップされています。彼女はこのプログラムを通して、各地域コミュニティが自分たちで推奨した場所を、自分たちで維持しながら提供していることを多くの人に伝えています。
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ユネスコ回廊は、大西洋岸の複数の州、さらに多くの自治体を取り込んだ観光プログラムですが、アメージング・プレイスはその象徴的な存在かもしれません。明日はファンディ湾の自然の驚異を体感できる、ホープウェル・ロックス州立公園を目指します。
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ホープウェル・ロックス州立公園 ~アルマ
Hopewell Rocks - Alma
ファンディ湾で 世界最大の干満差を体感
この日は早起きをして、世界最大の干満差を五感で楽しめるホープウェル・ロックス州立公園を目指します。ここでは半日かけて、ファンディ湾の異なる世界、干潮と満潮をどちらも体感します。さらにファンディ湾が作り出す、豊かなコミュティへ足を延ばします。
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ホープウェル・ロックスの午前
Hopewell Rocks in the morning
入口には干潮と満潮の予想時間が表示(※干潮と満潮の時間は訪問日により異なります。事前にウェブサイトで干満カレンダーを確認することができます)されています。公園のインフォメーションセンターを抜けて、階段から海底へ。そこには壮大なフラワーポットロック(花瓶岩)、何千年もの歳月をかけて岩が侵食されて形成された独特の地形が広がります。実際に歩いてみないと分からない足元の感触に驚きます。少し柔らかく、"泥"を感じる地面を散策。1時間に約1.8メートルも潮が満ちてくることが最初は想像もつきません。
素晴らしい海底の景観の中で、ひと際目立つ岩があります。それは「恋人たちのアーチ」と呼ばれるアーチ形の岩。そう呼ばれる理由は2つあります。ひとつは数年に一度、干潮時にここで結婚式が行われること。もうひとつは、岩の反対側から見ると、大きな亀裂が見えますが、まるで2人がキスしているように見えるからなのです。世界中からやってきた多くの旅人のとって、ここは特別な場所として記憶に刻まれることでしょう。さらに海底を歩いていると、複数の海藻が育ってることに気づきます。気泡を含み潮が満ちてくると水面に浮かび上がる「ヒバマタ」や、ゲル化剤として最も使用されるカラギーナンを豊富に含んだ「岩藻」など、ファンディ湾の力はさまざまな所で活かされています。
海底での大冒険。自然の驚異への興味が尽きませんが、海底で散策を満喫していると、目の前の海底が少しずつ狭くなっていくことに気づきます。そして州立公園のスタッフによる、ビーチから立ち退くように指示する声が聞こえてきます。ほんの少し休憩しましょう。
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ホープウェル・ロックスの午後
Hopewell Rocks in the afternoon
午後になり、同じ階段を下りるとそこには全く別の世界が広がります。あっという間に潮が満ちた圧巻の景色です。潮風と波の音、水面に反射する光を見ていると、その生命を宿っているかのような自然の驚異に圧倒されます。さっき自分が歩いた場所で、海底の上を進むなら、ガイド付きシーカヤックツアーに参加することがおすすめです。フラワーポット・ロックの壮大な海食柱の近くを漕ぎながら、ファンディ湾の巨大な潮の驚異的な力と美しさを直接体験することができます。初心者には難しいと感じる方でも心配はいりません。安全なライフジャケットを着用して、簡単なインストラクションを受けたあとに満潮の湾へ出発します。経験豊富なガイドが伴走してくれるので、安心して体験できるのです。
わずか6時間の間に体験する奇跡のような自然体験。一生忘れられない思い出になることでしょう。
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アルマ
Alma
アットホームな雰囲気に包まれた小さな村アルマ。さまざまなシーフード・レストランがあることで有名です。ファンディ国立公園に近いことから、アルマには夏になると多くの観光客が訪れ、ハイキングやカヤックを楽しみます。ファンディ国立公園の自然アクティビティ、そしてアルマの港を拠点とするロブスター漁は、この小さな町を支える重要な産業となっています。
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アルマ・ロブスター・ショップ
Alma Lobster Shop
この居心地の良い小さな町では世界一のロブスターを味わえます。「Alma Lobster Shop」は、1960年に創業した、三代続く漁師による、家族経営のシーフードレストランです。ファンディ湾の冷たい水で育てられた、世界最高級のロブスターを一年中提供しています。
店内の水槽にはユニークな海水生物がいて、独自のシーソルトも製造しています。店員は訪れる客と旧知の知人のように楽しく会話を交わします。さらに、レストランで実際に味わうロブスター。肉厚で食べ応えがあり、まさに世界一と呼ばれるのも納得できます。私たちが幸せな顔でロブスターを味わったとき、オーナーやスタッフも本当に誇らしげな顔をします。自分がコミュニティに歓迎された気持ちになります。
ロドニー・マクドナルド Rodney MacDonald
アルマ・ロブスター・ショップ
Alma Lobster Shop
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ロブスター漁師として40年間漁業を続けながら、ロブスターショップのオーナーとして活躍。彼は、最高級のロブスターを扱いながらサステナブルな意識も忘れていません。ファンディ湾は潮の流れが速く、潮の抵抗が大きいと、ロブスター漁は厳しくなりますが、長期的には乱獲を防ぐことになり、結果としてサステナブルな漁業になると考えています。彼は、若い頃から今の奥様の父親が経営するロブスター・ショップで働いていますが、ここで本物の家族経営のビジネスを展開しています。そして彼は自分たちだけではなく、この町の暮らしを良くするために、雇用を生み出しています。根底にあるのは"コミュニティ"の意識です。
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ホープウェル・ロックス州立公園で体感したファンディ湾の迫力、そしてアルマで味わった絶品ロブスターと温かいホスピタリティ。必ずもう一度この場所に戻ってきたいと感じるのは自然なことでしょう。もう十分に幸せな気分ですが、もう少し足を延ばして、ファンディ湾の魅力を辿ります。
ここもチェック!
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High Tide Restaurant
朝の干潮から午後の満潮まで、ゆっくりくつろげる場所。ホープウェル・ロックス州立公園の館内にある「High Tide Restaurant」は、地元の新鮮な食材を使った料理を提供するフルサービスのカジュアルレストランです。ダイニングデッキからはファンディ湾の景色を一望でき、地元のロブスター料理や地ビールを味わうのに最適な場所です。
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Fundy Coast Sea Soap
ファンディ湾はミネラルや天然アミノ酸を豊富に含む海水を提供していますが、その自然の恵みをお土産にするなら天然ソープがおすすめ。中には泥の成分を含んだものも。アルマの小さなギフトショップでお気に入りのソープを探してみましょう。
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セントマーティンズ~セント・ジョン
St. Martins - Saint John
海の洞窟と屋根付き橋、 そして温かいコミュニティ
6日目。アルマで人々の温かさに触れ、コミュニティの力を感じた私たちが次に向かうのは、ストーンハンマー世界ジオパークに位置する小さな町セントマーティンズ。ここはかつて造船の中心地でした。1800年代の初めは東海岸全体で3番目に大きな造船港で、この小さなコミュニティで500隻以上の船が建造されました。潮の満ち引きが船の建造、そして進水を容易にしていたのです。現在は、フォトジェニックな2つの屋根付き橋で多くの観光客で賑わい、個性豊かな観光地として機能しています。
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屋根付き橋
Covered Bridge
ニュー・ブランズウィック州を旅していると目にする屋根付き橋。屋根付き橋はカナダの冬の厳しい寒さから橋を守り、橋の寿命を延ばす役目がありますが、それぞれに物語があります。そして、交通手段としての役割はもちろん、冬にはイルミネーションに彩られたり、コミュニティにとって大切な場所なのです。ちなみに屋根付き橋は「キスの橋」と呼ばれていますが、カップルたちにとってもロマンチックで特別な場所。数あるニュー・ブランズウィック州の屋根付き橋の中でも、ここセントマーティンズは2つの橋を同時に見れることで有名です。さらに2022年9月、セントマーティンズのヴォーン・クリーク屋根付き橋は、2車線の木造屋根付き橋に建て替えられました。この橋は州内で唯一、北米でも珍しい2車線の屋根付き橋です。たくさんの角度から写真を撮影したくなります。
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シー・ケイブ
Sea Cave
セントマーティンズの町のすぐそばに、世界ジオパーク「ストーンハンマー世界ジオパーク」を代表する場所のひとつ、「Sea Cave」という海食洞があります。ここはロックハンター、バードウォッチャー、自然愛好家たちを虜にする場所で、砂岩の洞窟はファンディ湾の潮の満ち引きによって削り取られたもの。洞窟へ近づくと、その神秘的な自然美に迫ることができます。ガイドが湾の自然史について語るのを聞きながら、砂浜で宝物を探してみるのも良いでしょう。また、満潮時にカヤックでパドルを漕いで、何百万年もの歳月をかけて削り出された、赤い岩の断崖の海岸線を眺めてみるのもおすすめです。
ここもチェック!
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SHIP YARD CAFE
黄色い建物が特徴の「SHIP YARD CAFE」は、特にこのコミュニティを象徴する場所のひとつです。このカフェでアドベンチャーガイドをする傍ら、共同経営者として経営するのがマーク・カーペンターさん。アドベンチャーガイドとしては、カヤックやハイキング、キャンプを通して、セントマーティンズの自然の魅力を伝えています。このカフェでは家族のレシピが世代を超えて受け継がれ、また、店内には造船や木材伐採の歴史を示す写真もたくさん飾られており、この土地の歴史を伝えています。ここは観光客だけでなく、地元の人々も集まる「コミュニティ」なのです。
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セント・ジョン
Saint John
ファンディ湾の北岸、セント・ジョン川の河口に位置するセント・ジョン。ここは、米国の独立革命後、多くのロイヤリスト(英国王室に忠誠を誓う人)がやってきて築いた街。活気あふれる歴史的な都市の魅力と、ファンディ湾の壮大な自然の魅力が同居するセント・ジョンは、地元市民やクルーズでやってくる観光客で賑わいます。保存状態の良い19世紀の建築物が並ぶ狭い通りを歩き、カフェや地ビール醸造所でリラックスした時間を過ごしましょう。
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セント・ジョン・シティマーケット
Saint John City Market
セント・ジョンのアップタウンの中心にある「セント・ジョン・シティマーケット」は、建物も体験も象徴的な、カナダ最古のファーマーズ・マーケットです。まるで船体を反転させたような形をしたユニークな屋根の下で多彩なお店が観光客を迎えてくれます。地元の住民も観光客も、世界各国の食材や料理、手作りパンやコーヒー、地元アーティストの工芸品に夢中になります。ここではショップの店員と言葉を交わしながら、ローカルな気分を楽しみましょう。
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リバーシング・フォールズ急流
Reversing Falls Rapids
セント・ジョンが、ファンディ湾に面した唯一の都市であることを体験できるのがリバーシング・フォールズ急流です。セント・ジョン川がファンディ湾に流れ込み、潮の満ち引きにより、河口の水が実際に逆流する迫力を目にすることができます。これはファンディ湾とセント・ジョン川の衝突によって生み出される独特な現象。干潮時には、川の水が湾に流れ込み、一連の急流を引き起こします。やがて潮が満ちてくると、潮位差が小さくなるため一時的に緩やかになりますが、湾の潮は満ち続け、徐々に川の流れを逆転させます。急流が再び形成され、満潮時にピークに達します。こんな大きな都市で、ファンディ湾の自然の驚異の一端を体感できるのは驚きです。
大西洋の潮風に導かれて、アトランティック・カナダのユネスコ回廊を辿った旅。どこも魅惑的な自然に囲まれ、多くの物語がありました。その根底にあるのは、新しい世界でより良い生活が送れると信じた移民の精神に通ずる前向きな姿勢。そしてそれらを世界中の人々に伝え、共有しようとする温かさ。旅が終わった時、オープンな心で、未来に向かって進む自分にワクワクする感覚を覚えます。そして新たな旅が始まります。
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ノバ・スコシア州 /ニュー・ブランズウィック州(前編)
ハリファックス
ルーネンバーグ
グラン・プレ
カナダ大西洋岸地方の文化・経済の中心都市ハリファックスから始まり、カラフルな旧市街に物語が溢れるルーネンバーグ、さらに美しい景観の奥に、ファンディ湾の影響とアカディアンの歴史が感じられるグラン・プレを訪ねます。
その他の物語
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ニューファンドランド&ラブラドール州
カナダ最東端の島で出会う氷河が創った彩り豊かな世界
ニューファンドランド島は、太古の地球を体感できる場所。氷河が大地を削り取った巨大なフィヨルド、地上に露出したマントルなど創成期の地球の姿を目の当たりにします。沖にはゆっくり氷山が流れ、海鳥パフィンが舞い、遠くでクジラが潮を吹き上げる。歴史が薫る街や漁村を歩くと人々の賑やかな声が聞こえ、ニューファンドランド独特の伝統や文化に気付きます。最東端の島でカラフルで幸せな時間を。
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プリンス・エドワード島州
赤毛のアンの島で触れるサステナブルで豊かな暮らし
カナダの大西洋沿岸、セント・ローレンス湾に浮かぶプリンス・エドワード島。名作「赤毛のアン」の舞台となった島として有名ですが、物語で描かれる牧歌的な農村の生活は、今でも息づき、旅人にも真の豊かさとは何かを気づかせてくれます。美しい風景と地産地消の美食を堪能しながら、サステナブルで豊かな暮らしを体験してみましょう。