夜空に神秘的な光を放つオーロラ。初めての感動体験は、いつまでも心に残る思い出になります。
北の空いっぱいにきらめく星屑のように、緑、黄、ピンクの光が夜空に舞う光景は、はるか昔から旅人の心をつかんで離しません。
カナダには、世界トップクラスのオーロラ観賞スポットがいくつもあり、美しい幻想的なオーロラを一目見ようと、世界中から観光客が訪れます。
そこで今回は、カナダ各地で大自然の驚異、オーロラを体験できるベストスポットをご紹介します。かつてのゴールドラッシュで集まってきた探鉱者たちの暮らしを彷彿とさせるテントを使ったキャンプから、快適さを追求した観賞専用カプセルに至るまで、多彩なスタイルの楽しみ方があります。

写真:Gawain Jones/NWTT
オーロラという名前の秘密
英語では、オーロラの正式名称をオーロラ・ボレアレス(aurora borealis)と言いますが、これはローマ神話に登場する暁の女神「アウロラ」、そしてギリシャ神話に登場する北風の神「ボレアレス」に由来します。そして、オーロラが同時に出現する地点をつないでいくと楕円形のドーナツ状になりますが、オーロラ出現エリアをオーロラ・オーバル(「オーロラの楕円」の意)と呼びます。実はカナダ北部の大部分が、北半球のオーロラ・オーバルにあたるのです。
オーロラ発生の原理
北半球で見られるオーロラ現象は、太陽から電気を帯びた粒子「荷電粒子」が放出され、これが地球の大気圏に入るときに大気(酸素や窒素)とぶつかることで生じます。つまり、太陽の活動が活発なときほど、オーロラを見られる可能性も高くなるのです。

写真:IG @hynesightadventures
オーロラの魅力
息をのむほど美しいオーロラ。いつ現れるのか誰にも予想できない自然現象だからこそ、人々の心をとらえて離しません。とはいえ、カナダの中でも、特に地球の磁極に近い北極圏は、オーロラ出現の可能性がとても高いと言われています。
オーロラ現象では、色とりどりの幻想的な光が生み出されます。その形状は、ときに弧を描いたり、ゆらゆらと揺れるカーテンように見えたりします。また、もやのかかった一筋の光や、半透明な雲のように見えることもあります。ときに神秘的な緑色の光を放ち、ときに紫色やピンク色、黄色にきらきらと輝くこともあります。特によく見られるのが緑色のオーロラで、赤色はめったに現れません。オーロラは、光が突然、向きを変えたり、驚くほど素早く動いたりすることから、漆黒の夜空を舞台にした「光のダンス」と言われることもあります。
カナダのオーロラ観賞スポット


カナダでのオーロラ観賞に、ベストと言える特定の時期はありません。オーロラ観賞のシーズンは、8月後半から4月前半まであり、時期によってそれぞれに違ったオーロラが楽しめます。秋に入ると、夜はひんやりと爽やかな気候になり、各地で紅葉が始まります。まだ雪は降らないため、アウトドア体験とオーロラ観賞をセットにできます。冬が始まると、夜が長くなり、スノーシューイングや犬ぞりなど、冬ならではの定番のアクティビティとオーロラの組み合わせがおすすめです。
観賞の時間帯は、一般的に夜10時から深夜3時の間。満点の星空を見ながら夜更かしするつもりで準備しておくといいでしょう。
カナダのオーロラ観賞スポット
カナダでは、大部分の地域でオーロラを観賞できますが、特に安定してオーロラが出現しやすいのはカナダ北部。オーロラ・オーバルの真下に位置するため、オーロラが特にはっきりと頻繁に現れるのです。
絶対条件は、空が澄んでいること、そして光害が限りなく少ないこと。そう考えると、オーロラ観賞のベストスポットは、都心から遠く離れたエリアと言えます。また、地球の磁極に近づくほど、オーロラの出現確率も高くなります。

写真:Valerie Pond
カナダで特におすすめのオーロラ観賞スポットは?
頻繁にオーロラが出現していることと、旅行者が簡単にアクセスできる場所であることを条件に、おすすめ観賞スポットをまとめました。
無理な山歩きや、過酷な条件下での行動が必要な場所は除外してあります。また、現地ツアー会社では、オーロラ観賞ツアーに最適な夜を選ぶ際にオーロラ予報を参考にしています。
ユーコン準州
カナダ北西部に位置するユーコン準州には、高確率でオーロラが見られるスポットが数カ所あります。ユーコン準州の一部がオーロラ・オーバルの真下にあります。
オーロラ観賞のベストシーズンは、8月後半から4月前半。
北極圏に近いユーコンでは、夏季は白夜になります。夜も太陽の光があるときにはオーロラが観賞できない点にご注意を。


ユーコンで見るオーロラはどんな感じ?
かつてのゴールドラッシュに沸いた西部開拓時代以来、大自然に恵まれたユーコンは、人気アドベンチャーの舞台としても人気を集めています。日中は、犬ぞり、ファットバイク、スノーモービル、穴釣りなどを楽しみ、夜は美しいオーロラ観賞で感動のひとときを味わってみてはいかがでしょうか。
秋
かつてゴールドラッシュで集まってきた探鉱者たちは、明かりは満点の星空とオーロラだけという、素朴なテント暮らしを続けました。ノーザン・テールズでは、ホワイトホース近くの大自然の中で、往時のキャンプを彷彿とさせるスタイルのオーロラ観賞ツアーを提供しています。同社は、ワイルドなドラム缶ストーブや熱々の飲み物など、オーロラ出現を待つ間、快適に過ごすためのグッズやメニューも用意しています。
晩冬~早春
ノーザン・テールズが提供する冬のプランには、多彩なオーロラ観賞パッケージツアーがあります。ツアーによってはスノーシューイングや穴釣り、スノーモービル、犬ぞりといったアクティビティを組み合わせたものもあります。
アークティック・レンジ・アドベンチャーは、オーロラ観賞拠点として「オーロラセンター」を運営しています。同センターでは、高級感があり、断熱性に優れたユルト(テント)か、先住民の住居にヒントを得た快適なティピーを選んで、ゆったりくつろげます。また、日中は野生動物観察や犬ぞりを楽しんだり、イクリプス・ノルディック・ホットスプリングスの温泉でのんびりしたりと、思い思いに時間を過ごせます。
マウンテンバイク専門店のボリアル・エクスプローラーズは、スノーバイクとオーロラ観賞を組み合わせたガイドツアーを実施しています。また、オーロラ観賞にスノーモービルや犬ぞりを組み合わせたツアーもあります。いずれも、ホワイトホースの近くにあるスタイリッシュでエコを意識したロッジから出発します。

写真:IG @dancarrphoto
こんなユニークなオーロラ観賞ツアーも!
●エピック・ノース・オーロラ・ツアー:ホワイトホースからわずか20分のアクセス便利な場所で素敵な観賞用キャビンを使って観賞します。同社が所有するオーロラ・シャレーは、地域内で唯一の酒類免許を持つ施設です。
●ワイルド・アドベンチャー・ユーコン:貸切ドームでオーロラ観賞を楽しむツアーを実施しています。どのドーム利用プランにも、ハムやソーセージなどを盛り合わせたオードブルが付いています。スノーシューイングや犬ぞりのナイトツアーを組み合わせることもできます。
●ノーザン・ライツ・リゾート&スパ:快適なベッドに横になりながらオーロラが観賞できるガラス張りのシャレーが人気。年に数回、航空会社のエア・ノースからチャーター便を確保し、「オーロラ360」と銘打った特別フライトを実施しています。32人限定のフライトで、空からオーロラを観賞できるまたとない機会です。これまでのところ、オーロラ観賞の成功率は100%とのこと。
マニトバ州
マニトバ州北部は亜北極圏にあたり、ハドソン湾に接しています。このエリアにあるチャーチルは、オーロラ観賞にうってつけの地とされています。
1月~3月の冬季は特に観賞向きですが、1年を通じてオーロラに出会える可能性があります。
チャーチルがオーロラ観賞に適している理由
チャーチルは、地理的に夜が長くて気温も低いため、強いオーロラの光が長い時間見られる傾向にあります。



写真:Travel Manitoba
晩冬
チャーチルのオーロラのハイシーズンは、2月~3月の厳寒期。気温がマイナス40度に達することもあります。経験豊かなツアー会社であるフロンティア・ノースの案内で真夜中に向かうは、北極圏の冬の暗闇。とはいえ、乗車するツンドラ・バギーは暖房完備で、車内にバーまである至れり尽くせりの仕様です。予備のバッテリーも忘れずに。実は、急激な気温低下でバッテリーが機能しなくなることがあるのです。また、防寒服は、ポーラー・イン&スイーツでレンタルできます。魅力的なシャッターチャンスを逃さないことも大切ですが、決定的瞬間を見逃さないように、感動の光景をしっかり目に焼き付けておきましょう。
秋
オーロラ観賞に2番目におすすめしたい時期が、9月~11月です。9月中旬までは、ウィニペグから飛行機で2時間のところにあるエイキンズ・レイク・ウィルダネス・ロッジの快適なデッキでオーロラ観賞を楽しみ、日中はトロフィー・フィッシング(記録級の大物を釣り上げる競技)を組み合わせてみてはいかがでしょうか。


ノースウエスト準州でのオーロラの楽しみ方
冬
ノースウエスト準州の冬のオーロラは、どこまでも広がる白銀の世界に美しいオーロラが見事に映えるとあって、大きな感動を味わえます。とにかく手軽にオーロラを鑑賞したい方におすすめしたいのが、イエローナイフ郊外でティピーに宿泊できるオーロラ・ビレッジ。ここならゆったりくつろぎながら、オーロラが楽しめます。オーロラ観賞専用に設計されていて、薪ストーブ完備の広々としたティピー、毛皮敷きのソファ、暖房の効いたリクライニング機能付き観賞カプセルが用意されています。

写真:Kristian Binder
ほかにもまだあるオーロラ観賞スポット
オーロラといえば、カナダ北部を思い浮かべますが、ときには、もっと南のエリアに出現して人々を驚かせることがあります。こうしたエリアでの出現は珍しいだけに、もし出会えたら感動もひとしおです。
●ヌナブト準州:冬になると、長く暗い夜に包まれる広大なツンドラ。特に人里離れた地域や大自然に囲まれたロッジでオーロラを観賞できることがあります。
●オンタリオ州:ひんやりとした秋の夜、マニトゥーリン島やプカスクワ国立公園などのスポットで時折、夜空にオーロラが出現します。
●アルバータ州:条件がよければ、壮大なカナディアン・ロッキーを背景に、オーロラが出現。しかも氷河が流れ込む湖にオーロラが映り込む感動の光景を堪能できます。
●ニューファンドランド&ラブラドール州:ラブラドールのバックカントリーやトーンガット山脈国立公園などの人里離れた地域まで行くとオーロラが見られることがあります。

写真:Travel Alberta/ROAM Creative
どんなに疲れていても、オーロラが輝く感動の瞬間に立ち会えば、きっと心が踊るはず。はかないひとときとはいえ、見惚れてしまうほどまばゆい光のショー、それがオーロラの魅力なのです。さあ、オーロラを求めて旅の準備を。
