カナダでは冬の到来とともに太平洋岸、大西洋岸に吹雪が吹き込み、全国的に白銀の世界に変わります。と同時に、人々の心の中では熱気も上昇、“熱く燃える季節”がやってきます。
だからこそ、カナダの冬をとことん楽しむ素敵なアクティビティが次々に誕生したのです。夏以外にカナダを訪れたことがない方も、カナダ自体が初めてという方も、今回の記事で冬ならではの旅の魅力を見つけて、ぜひカナダを体験してみませんか。
ゲレンデで盛り上がる
冬のカナダで一番の楽しみといえば、スキーやスノーボード。ひんやりとした新鮮な空気、キラキラと輝く山々の雄姿、カナダならではのフレッシュなパウダースノーが待っています。カナダ各地には、初心者からベテランまで幅広く対応する大小さまざまなスノーリゾートが点在しています。また、隣接してレストランやアフタースキーのひとときを過ごす各種施設、宿泊施設も揃っています。
ブリティッシュ・コロンビア州だけでも大規模リゾートの数は実に13。北米最大の積雪量(年間11メートル)を誇るマウント・ワシントン・アルパイン・リゾート。バンクーバー島のナナイモから北に1時間30分。カナディアン・ロッキーのクートニー地域で名高い通称「パウダー・ハイウェイ」沿いにはスノーリゾートが8カ所もあり、気に入ったリゾートでたっぷり滑りたいもの。また、リバーサイドの街・カムループスから北東にわずか1時間のサン・ピークス・リゾートは『ナショナル・ジオグラフィック』の「ベスト・ウィンター・トリップ2019」にも輝いた人気リゾート。ここにあるレストラン、アルパイン・フォンデュ&スターライト・ディセントはおすすめです。
カナディアン・ロッキーを隔てて隣に位置するアルバータ州には、1700ヘクタールの広大な敷地に多彩なコースが魅力のレイク・ルイーズ・スキー・リゾート、7カ月にわたってシーズンを満喫できるバンフ・サンシャイン・ビレッジ、カナダ最長のコースを滑走するスキーレース開催地としても有名なバンフ・ノーケイがあり、この3つのリゾートで使える共通リフト券があります。 カナディアン・ロッキーに抱かれたアルバータ州ののどかな町、ジャスパー。そこから南に車で30分のマーモット・ベイスンは、最低標高が1690メートルとカナダで最も高く、また各種アメニティも北米一の手頃な料金を実現しています。
カナダ東部では、ケベック州モントリオールから北西に145キロのところにモン・トランブランがあります。コース数102を誇り、山頂には移動カフェテリア、ル・ノマドがあります。麓のビレッジにはヨーロッパ風の歩行者専用道路が整備されています。
スパや温泉でくつろぎのひととき
冬のカナダといえば、雪をかぶった木々やキラキラと輝くつらら。そんな冬景色を暖かいスパや温泉から眺めてみませんか。
ブリティッシュ・コロンビア州のパークスビルでは、石造りのミネラル・プールや癒しのトリートメントが楽しめるタイナマラのグロット・スパがおすすめです。ビクトリアから北に車で2時間。スパ専門サイト「スパス・オブ・アメリカ」のカナダ編トップ50ランキングで堂々第1位に輝いています。クートニー・ロッキー地域には、先住民クトゥーナーハ族が所有するエインスワース・ホット・スプリングス・リゾートがあり、ここにU字形の天然洞窟を利用した温泉があります。ほかにもBC州には訪れてみたい温泉がたくさんあります。
今度は東に向かい、サスカチュワン州マニトウ・ビーチにあるマニトウ・スプリングス・リゾート&ミネラル・スパへ。浮力の高い温泉水で知られています。また、マニトバ州中部の北方林に佇むエルクホーン・リゾートのソルスティス・スパのトリートメントやプールで過ごす贅沢なひとときはいかが。ケベック州では200以上あるスパのうち、30ほどのスパがストロム・スパ・ノルディークの温冷熱体験など、北欧式のアメニティを提供しています。
型破りのアドベンチャーに挑戦
シーフードや氷山ウォッチングで知られるアトランティック・カナダですが、実は型破りな冬のアクティビティが多いことをご存知ですか。 ニューファンドランド&ラブラドール州中部では、ホッジズ・ヒル・スノーモービル・ツアーはいかが。ガフ・トップスルの吹き荒れる雪は驚嘆の一言。夜は、間仕切りを極力なくしたシャレー(ロッジ)に宿泊し、川の景色を眺めながら過ごしましょう。ニュー・ブランズウィック州のクーキボーウアック国立公園では、極太タイヤのファットバイクに挑戦。さまざまな木々が見られるアカディア地方らしい森の中を縫うように、整備の行き届いたトレイルが続いています。ノバ・スコシア州の全長298キロに及ぶカボット・トレイルの起点となるカボット・ショアーズ。ここで楽しめるのが、「スノー・マッチ・ファン・パッケージ」。スノーシューイング、2人用の赤外線サウナ、気功教室、杉材の香るユルト(モンゴル式のテント)などが多彩な内容がセットになっています。プリンス・エドワード島州の歴史ある州都シャーロットタウンから車で1時間30分で到着する家族向けのミル・リバー・リゾート 。チュービング、屋外スケート、クロスカントリー・スキーなど家族で楽しめるアクティビティが揃っています。
さらに北上すれば、カナダの冬ならではの楽しみ、犬ぞりが体験できます。「イントゥ・ザ・ワイルド・アドベンチャーズ」では、2日以上にわたる犬ぞりの旅を企画しています。犬ぞりマッシャー(操縦者)気分を味わってみては。犬ぞりを自ら操縦して、ユーコンの深い谷間や渓谷、山を駆け抜けます。犬ぞり操縦はちょっと難しそう…という方には、伝説のユーコン・クエスト国際犬ぞりレースの観戦がおすすめ。毎年2月に、米アラスカ州フェアバンクスからユーコン準州ホワイトホースまでの距離を疾走するレースです。ノースウエスト準州で汗を流すなら、アークティック・シャレー・リゾート&アドベンチャー・ツアーズが提供するファビュラス・ファン・ラン(全2時間30分)がおすすめです。ヌナブト準州では、イヌクパック・アウトフィッティングが開催する犬ぞりの旅があります。半日プラン、1日プラン、複数日プランがあり、犬ぞりで雪深いツンドラや結氷した海を駆け抜けます。
都心で楽しむ冬
せっかくカナダに旅するなら、カラフルな冬のカーニバルや賑やかなイベントの時期に合わせましょう。冬のカナダを訪れるなら、毎年、数々のイベントや催しが目白押しの都心部も見逃せません。
2019年に10周年を迎えたバンクーバー・クリスマス・マーケット 。東欧文化にヒントを得た装飾品や食品を扱う店が80店も並び、多くの人々で賑わいます。ガラスや木を材料にした手作りのオーナメントを眺めて回るのも楽しいもの。トランシルヴァニア地方に伝わるチムニー(煙突)ケーキや温かいグリューワインを味わうのもお忘れなく。すぐ近くでは、カナダの空の旅を擬似体験できるアトラクション「フライオーバー・カナダ」のクリスマスバーションが開催され、北極まで空の旅を楽しむことができます。また、ブリティッシュ・コロンビア州のバーノン・ウィンター・カーニバルは、2020年に60周年を迎えました。雪像づくりやパレード、ビールとシードルの祭典「Suds N Cider」を始め、さまざまな楽しい催しが目白押しです。
カナダの首都であるオンタリオ州、オタワでは、2月の3週にわたって各週末にウィンタールードが開催されます。ハイライトは、バイワード・マーケットのクリスタル・ガーデンに並ぶ氷の彫刻、フーディ・ツアー、サブゼロ・エレクトロDJナイト(屋外のダンスパーティ)など。また、オタワ・アイス・ドラゴン・ボート・フェスティバルでは、リドー運河に開設されるスケート場を舞台に、スケートのブレードを取り付けたボートで白熱のレースが開催されます。
これで満足するのはまだ早い! 冬のカーニバルの原点とも言えるのが、ケベック・ウィンター・カーニバルです。 ヨーロッパの薫り漂う ケベック州の州都ケベックシティで毎年2月に開催されます。この種のイベントとしては世界最大とされる同カーニバルは、10日間にわたって開催され、ナイトパレードや、結氷したセント・ローレンス川で60チームが競い合うカヌーレース、カーニバル・グロッグ酒(メープルシロップを加えたカクテル)が並びます。さらに、赤い帽子「トゥーク」をかぶり、矢をデザインした伝統の網目模様ベルト「サッシュ」を身に着けた大きなスノーマンのマスコット「ボノム」の姿も。
オーロラを見よう
カナダの冬の旅の定番といえば、オーロラを抜きに語れません。オーロラは、太陽から吹きつける荷電粒子が地球の大気圏に入るときに大気とぶつかることで発生します。その結果、澄み切った寒い夜空に神秘的なオーロラがゆらゆらと現れ、世界中のから多くの観光客がカナダの北の大地を訪れます。
オーロラは絶えず姿を変えていて、観賞方法も多岐に渡ります。例えばユーコン準州の ノーザン・ライツ・リゾート&スパでは、大きなガラス窓を配したプライベートロッジでゆったりくつろぎながら、夜空の光のショーを堪能できます。また、ノースウエスト準州のオーロラ・ダイニング体験プログラムを通じて、全3品のグルメディナーを楽しんだら、ティピービレッジでオーロラ出現を待ちます。ヌナブト準州の州都イカルイト郊外の人里離れた地でシンプルにオーロラを堪能できるのが、アークティック・キングダムのガイド付きノーザン・ライツ・ゲッタウェイです。また、マニトバ州北部のチャーチルから20分のオーロラ・ドームは樹脂ガラス製のミニドームに入ってオーロラを観賞できます。
今年の冬はカナダを旅してみませんか。カナダの旅を楽しくするアイデアのトップ5をまとめました。