西部にそびえるカナディアン・ロッキーから、東部にこんもりとした山々が広がるローレンシャン高原まで、カナダの豊かな地形がスキーやスノーボードの多彩なコースを作り出しています。長く寒い冬に入り、雪の日が続くと、このときを待ちわびていた人々で多くのスキーリゾートが賑わいます。カナダのスキーリゾートが世界中で羨望の的になっているのもうなずけます。
ブリティッシュ・コロンビア州のファミリー向けリゾート
10の山脈に13の主要リゾートが点在するブリティッシュ・コロンビア(BC)州。文字どおりスキーバケーションのメッカです。まずはBC州内陸部のトンプソン・オカナガン地方へ。しっかり整備されたファミリー向けの人気ウィンタースポットが揃っています。
カナダで第2位の規模を誇るサン・ピークス・リゾートでは、アルパインボウルやオープントレイル、ツリーラン(林間コース)などのコースが17.3平方キロの広大なエリアにあり、しかもカムループスから車で1時間以内とアクセスも良好です。ディナーはフォンデュ・ステューブでとろけるチーズやチョコレートのフォンデュを。ビレッジで就寝前にゲレンデ横のホットタブで体をゆったり温めましょう。さらに南部、ケロウナからだと東に車で1時間のところにあるのが、ビッグ・ホワイト・スキーリゾートです。リフト16基、コース数は119本。しかも4.8メートルのアイスクライミングのタワーまであります。体を温めるなら、60種類のホットソースが選べるアンダーグラウンド・ピザか、馬ぞりで森を駆け巡ってからブランチで一息。バーノンから21.9キロで到着するシルバースター・マウンテン・リゾート。まず緩やかなスロープやオープンボウルでウォーミングアップしたら、ワイルドな林間コースやスイートスティープ(急勾配)で直滑降にチャレンジしてみては。また、カナダ最大のクロスカントリー・コース網は、毎日きちんと圧雪されているので安心して丸1日楽しめます。世界唯一のスキーイン・スキーアウトで利用できるボーリング場で汗を流したら、ゲレンデ隣接のロッジでゆっくり休息を。ロッジは9カ所あります。
バンクーバー島で雪に遊ぶ
北米最大の降雪量に恵まれたマウント・ワシントン・アルパイン・リゾートは、毎年高さ11メートル以上の雪が積もります。バンクーバー島のナナイモから北に1時間30分。688万平方メートルという巨大な高山エリアに広がるパウダースノー。スキーにとどまらず、クロスカントリーやスノーシューイング、ファットバイクのトレイル網も整備されています。
林間コースや圧雪済みのゲレンデを楽しんだら、アフタースキーはテッズ・バー+グリルでプーティンやポップコーン・シュリンプにクラフトビール、あるいはイーグル・ビュー・ビストロでハムなどのオードブルとワインで、美しい山々や公園の景色を眺めながら乾杯。宿泊は、スイス風のビレッジにある居心地の良いコンドミニアムやシャレー、そしてアルファベットの「A」のような外観のAフレーム・キャビンが選べます。さらに、山上のベア&ディア・ロッジも宿泊可能です。
ブリティッシュ・コロンビア州のパウダースノー・ハイウェイ
伝説のパウダー・ハイウェイ沿いには、カナダ屈指のスキーリゾートが点在しています。環状のハイウェイ沿いには、8カ所もの個性豊かなリゾートが並び、周囲を見渡せば、世界的に有名なカナディアン・ロッキーの雄姿が目に飛び込んできます。また、レベルストークやロスランドなど、のどかな山あいの町もあります。
リゾートがこれだけ充実しているので、すべてを制覇するもよし、狙いを定めていくつか集中的に楽しむもよし、いろいろな楽しみ方ができます。ゴールデンの近くには、シャンパンパウダー天国を謳うキッキング・ホース・マウンテン・リゾートがあります。なんと斜度60度の上級者・エキスパート向けコースがあるほか、スキー場境界内だけで85以上のシュートがあります。ビッグ・マウンテンのプライベート・レッスンに参加して急勾配をマスターしたら、標高2,347メートルにあるカナダ最高峰の5つ星レストランの イーグルズ・アイへ。鴨のコンフィやイノシシ肉の料理がいただけます。1900年代初期のレンガ造りの建物が並ぶ歴史の町・ファーニーからほど近いファーニー・アルパイン・リゾートでは、多彩なゲレンデや豊富なパウダースノーが待っています。インバーミアの近くにあるパノラマ・マウンテン・リゾートは広大なオープンクルーザー型のゲレンデから、超難度のオール・ブラック・ダイヤモンド級のテイントン・ボウルまであり、初心者もエキスパートも楽しめます。ランチは山の中にあるエルクホーン・キャビンでラクレットはいかが。その後はリゾートベースで、カナダ最大のゲレンデ横の温水プールに浸かってリラックスしましょう。
オリンピック出場選手の足跡をたどって
カナダではこれまでにカルガリー(1988年)とバンクーバー(2010年)で2つの冬季五輪が開催されました。このため、五輪開催の遺産が豊富にあり、メダルに輝いた選手を思い出しながら、ゆかりのある会場でスキーや各種ライドを楽しみ、ゲレンデや設備を体験できます。また、都心からの近さも魅力です。
バンクーバーを出発し、くねくねと蛇行するシー・トゥー・スカイ・ハイウェイを1時間半ほど走ると、ウィスラー・ブラッコム。ここでは女子ダウンヒルで金メダルに輝いた米国アルペンスキー選手リンゼイ・ボンらが巣立っています。オリンピックのヒーロー選手に自分を重ね合わせて同じゲレンデを滑ってみましょう。フランツは、麓のクリークサイドまで続く中級向けの長いゲレンデです。ウィスラー・オリンピック公園ではオリンピック精神を学ぶことができます。例えば技術の粋を集めたピーク2ピーク・ゴンドラや森と融合したオーディン美術館など、オリンピック開催後にできたアトラクションも見逃せません。
バンクーバーのノースショアにあるサイプレス・マウンテンでは、地元開催でカナダ初のゴールドメダリストになったフリースタイル・スキーのアレックス・ビロドウのようにバンプを攻めてみましょう。続いて輝くイルミネーションの中、スノーシューでトレッキングを楽しむライツ・トゥ・ザ・ロッジを楽しみます。
隣のアルバータ州のナキスカは、1988年のオリンピックに際して整備されました。以来、近くのカルガリーを中心に多くのスキーヤーが79コースのゲレンデを求めて集まってきます。アクセスは「ブロンズ」、「シルバー」、「ゴールド」、「オリンピック」の各種チェアリフトが用意されています。休憩はちょっと先にあるカナナスキス・ノルディック・スパで。マッサージやマウンテンビューのプール、スチーム・キャビンなど充実した内容で皆様をお待ちしております。
多彩な楽しみがあふれるアルバータ州
アルバータ州には30以上のスキーリゾートがあり、それぞれに個性があります。おすすめは州の南西部にあるカナディアン・ロッキーへ。山頂からベースまでの大満足のロングコースのほか、短めの滑降が楽しめるコースも豊富に揃っています。
最低標高が1,698メートルと、カナダで最も高いところにあるマーモット・ベイスン。鉄道の町であり、ロッキー・マウンテンの玄関口でもあるジャスパーから南に車で30分とアクセスも簡単です。両サイドを岩に挟まれたシュートを疾走し、圧雪コースをクルージング、さらに林間コースを抜けて、モーグルを制覇。しかも周囲を見渡せば常にジャスパー国立公園の絶景という素晴らしいコースが揃っています。町に戻る際は、マリーン渓谷のアイスウォークに立ち寄って氷瀑や氷穴を見学、宿泊は ウッドキャビンや豪華なロッジが利用できます。
カルガリーから東に1時間30分、 バンフからならわずか15分で到着するバンフ・サンシャイン・ビレッジは、非氷河エリアとしてはカナダ最長のスキーシーズンを誇り、カナダ初にして唯一のヒーター付きリフトが完備されています。コースは3つの山に広がり、休憩や食事は7つのビレッジのダイニングスポットがあります。宿泊はバンフ唯一のスキーイン・スキーアウト対応ブティックホテルのデラックスバルコニールームやロフトルームを。朝起きたら40分のドライブでレイク・ルイーズ・リゾートへ。どのリフトでもグリーン(初級)、ブルー(中級)、ブラック(上級)の各コースにアクセスできます。また、 ガイド付きのスノーシュー・ツアー でも、カナディアン・ロッキーの雄姿を堪能できます。ツアーは2時間。日中の景色を楽しむコースや星空の下でナイトトレックを体験するコースもあります。1日たっぷり遊んだら、この辺りのシンボルでもあるフェアモント・シャトー・レイク・ルイーズなど近隣のホテルへどうぞ。
オンタリオ州でとことん楽しもう
ジョージア湾南部の沿岸に広がるオンタリオ州最大のスキーエリア、ブルーマウンテン・リゾートは、トロントから1時間30分で手軽にアクセスできます。ファミリー向けの同リゾートは、滑走可能なエリアだけで146万9000平方メートルあり、最高斜度を誇るエレベーターシャフトなど上級向けの北面から、ビレッジや多彩なコースがある南面まで、幅広い地形で構成されます。日没後も、全42コースのうち、30コースが夜9時までナイター営業になるため、スキーを存分に楽しめます。
スキー以外にも、全長1キロのウッドビュー・マウンテントップ・スケーティングというループ型スケートコースもあります。ここからはナイアガラ・エスカープメントの絶景が広がります。夜は雪をかぶった木々のシルエットがライトアップの光に浮かび上がります。続いて見逃せないアトラクションが、リッジ・ランナー・マウンテン・コースター。1人乗りのカート型コースターで、自分でブレーキをコントロールしながら1キロのロングコースを最高時速42キロで疾走します。近くにあるスカンディネイブ・スパでは温水プールと冷水プールがあります。宿泊は周囲にあるインやロッジ、コンドミニアム、タウンホームなどが利用できます。
多彩な地形が楽しめるケベック州
ケベックには、3つの地域に10のスキーリゾートがあり、どこを選べばいいのか迷ってしまうほど。でも、どのリゾートに行っても賑やかなフランス語が聞こえてくるほか(住民の45%がバイリンガル)、ケベック流の文化や料理をたっぷり味わえます。
1931年に北米初のスキーリフト が登場したローレンシャン高原は、スタート地点にぴったり。また、モントリオールから2時間ほどのトランブランはベースに最適です。山地の最高峰を中心に周囲には102のリゾートが点在し、『スキーマガジン』が選ぶ東部のスキーリゾートNo.1に常に輝いています。コースは初級でも楽しめる全長6キロのナンセンもあれば、ダブルブラック(超上級)のダイナマイトも。いずれにしても拠点になるのは、ヨーロッパ風の石畳が美しいトランブランのビレッジです。さまざまなビストロやブティックが軒を連ね、タウンハウスやコンドミニアム、居心地の良いホテルも揃っています。スキーに遊び疲れたら気分転換。ガイド付きの犬ぞりアドベンチャーはいかが。マッシャー気分で自ら犬ぞりを操縦できます。あるいはウォーターパークのブラインド・アクアクラブもおすすめ。4つのウォータースライドと35のウォーターゲームが揃っています。
カナディアン・ロッキー東側の切り立った最高峰に抱かれたマッシフ・ド・シャルルボア。ケベックシティの北東に1時間、シャルルボアの郊外にあります。セントローレンス川の北岸に広がる同リゾートは、海を見渡す53の風光明媚なコースがあり、ウォーターフロントの絶景を満喫できます。休憩はサミット・カフェテリアで。揚げ物を使わないことをモットーにしているお店です。続いてガイド付きのそりコースへ。宿泊は、森に囲まれた3階建てのシャレーか、ゲレンデ隣のこぢんまりとしたハウス.が利用できます。
カナダのスキーを安全に楽しむために
- ゲレンデに出る前に、カナダの「滑走者責任義務」をご一読いただきますよう、お願いします。
- 新型コロナウイルスに関する健康・安全対策を遵守し、密閉された公共空間ではマスク着用を徹底してください。
- 【スキーやスノーボードの初心者の皆様へ】 ほとんどのリゾートでは、半日コース、1日コース、複数日コースの講習会を開催しており、基本を学び、自信を持って楽しめるようになります。
- すべてのスキーヤー、スノーボーダーの皆様には、頭部負傷を防止するためヘルメット着用をお願いしています。
- コースの標識やマップに注意し、境界線内かオープントレイルから出ないように気をつけてください。また、岩の露出や断崖を示す危険標識にも注意してください。
- 多くのリゾートでは、さまざまなレベルのスキーヤーやスノーボーダーを対象に、無料のガイド付きマウンテンツアーを開催しています。コース、地形のほか、案内情報などもしっかり把握し、コースに出ましょう。
- 滑走の際には周囲に十分に注意を払い、譲り合いの気持ちを忘れずに。混雑したエリアではスピードを落とし、合流地点では細心の注意を払ってください。
- バックカントリースキーは、厳しい天候や雪崩に見舞われる恐れがあります。バックカントリーに挑む際には、雪崩訓練を受け、適切な装備(プローブ、ショベル、トランシーバー)を用意してください。
このカナダのベストスキーリゾートのリストを参考に、冬の旅のプランを立てましょう。