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レジ・デビッドソン:ハイダ文化を現代に蘇らせる先住民アーティスト

レジ・デビッドソン:ハイダ文化を現代に蘇らせる先住民アーティスト

レジ・デビッドソンは、太平洋に浮かぶ島「ハイダグワイ」に暮らす先住民アーティストです。ただし先住民と言っても、カナダ太平洋岸の部族数は10以上にのぼります。レジは大昔からハイダグワイで生きてきたハイダ族のアーティストです。島の南端の無人島スカングワイにある朽ちたトーテムポールや集落跡がユネスコの世界文化遺産に登録されたのは1981年のこと。ハイダ族が姿を消し、集落が廃墟となってから実に1世紀後にあたります。そして、トーテムポールや踊りなど、失われたハイダの文化を現代に蘇らせ、伝え続けている人物こそがレジ・デビッドソンなのです。

集落が廃墟となり、トーテムポールが朽ち果てたのは、白人が持ち込んだ天然痘や結核で人口の9割近くが失われたことに加え、その後政府が先住民文化を禁じたからでした。レジの曽祖父チャールズ・イーデンショーは、文化の継承が禁じられる前、ハイダを代表するアーティストとして活躍していました。レジは兄のロバートとともに、亡き曾祖父の作品からハイダ彫刻を学びます。そして兄弟はハイダグワイの北端、オールドマセットの街で90年ぶりにトーテムポールを建立します。1969年、レジが14歳の時のことでした。

レジはその後、彫刻だけでなくハイダの伝統的な踊りの復活にも取り組みます。そしてポールの製作やハイダの文化を伝えるため、日本をはじめ世界各国を訪れるようになりました。「旅は出会いと学びの機会。自分たちが何者であるかを相手に直接伝えられるし、相手の文化を知ることもできる。ハイダグワイで我々が経験した過去の不幸な出来事は、ほとんどが先住民に対する無知や誤解から起こったことだ」とレジ。彼こそがお互いを知り、つながりあうことの大切さを知る「TSUNAGARI旅」を実践してきた人なのかもしれません。バンクーバー国際空港には、レジが製作したトーテムポールが展示されています。ハイダ族がたどってきた歴史と復活の物語を思い浮かべながら、ポールを眺めてもらえたらと思います。