紅葉に彩られるオンタリオ州の秋

秋を迎えると、ひときわ魅力を発揮するカナダ東部のオンタリオ州。晴れの日が続き、夜はひんやりと清々しく、黄、オレンジ、赤のカラフルな景色が広がります。9月中旬から10月下旬にかけて街も公園も田園地帯も紅葉があふれ、このシーズンならではの自然を楽しむ旅にぴったりです。

色鮮やかな季節：オンタリオ州に滞在していれば、紅葉を求めてわざわざ州外に足を運ぶ必要はありません。州立公園の散策、離島へのカヤックの旅、列車の旅、ヘリコプター遊覧飛行やジップライン、ナイアガラ・パークウェイのドライブ、爽やかな日にトロントやオタワの街歩きなど、オンタリオ州で紅葉狩りを楽しむ方法はさまざま。見ごろの時期・場所を事前に確認するには、「オンタリオ・フォール・カラー・レポート」（オンタリオ紅葉レポート）が便利です。時期や場所が決まったら、カメラ片手にオンタリオの美しい秋を満喫しましょう。ひと口メモ：日照時間と気温の変化をきっかけに、木々の葉は養分づくりをストップします。葉に含まれるクロロフィル（葉緑素）が分解されると、緑色が薄れていくため、最初から葉に含まれている赤や黄など別の色素が目立つようになるのです。

トロント：庭園はもちろん、島々や断崖に至るまで、秋の見事な紅葉は国際都市・トロントの表情をがらりと変えます。
➢ 秋になると輝きを増すオンタリオの庭園。とりわけ2022年は「カナダ・ガーデンの年」に当たるとあって、ぜひ足を運びたいものです。お薦めの庭園：グレーター・トロント・エリア（トロントを核とする大都市圏）の一部を構成する王立植物園（バーリントン）は、気温の低下とともに見事な紅葉に包まれます。植物園の中のロック・ガーデンでは、多年生植物の紅葉が楽しめます。ヘンドリー・パークでは、秋咲きのバラのかぐわしい香りが漂います。また、全長27キロに及ぶトレイルには、秋色に染まった木々が生い茂っています。
➢ トロント・アイランズは秋になると気温が下がり、人混みも一段落。そして見事な紅葉が島々を覆い尽くします。フェリーや水上タクシーで島を訪れたら、1日たっぷり紅葉の木々に囲まれてピクニック、色とりどりの枯葉が埋め尽くすトレイルの散策やサイクリングへ。また、島から海を隔てて見える街のシンボルであるCNタワーやダウンタウンの高層ビル群を背景にした紅葉の写真も素敵です。

➢ オンタリオ湖の湖畔にそそり立つ巨大な断崖、スカボロー・ブラフス。この断崖も秋色に染まります。15キロも続くスカボロー・ブラフスには、11の自然公園があり、赤や黄の美しい大自然を背景に、ハイキングやセーリング、パドルボードが楽しめます。

オンタリオの公園：この地域の国立公園・州立公園では、写真映えのする紅葉が広がり、豊かな季節のうつろいを楽しめます。
➢ウィンザーの南東にあるポイント・ピーリー国立公園では、毎年秋の数日間、数千匹のモナーク蝶を目にすることができます。この蝶は、渡り鳥のように移動する〝渡り蝶〟として知られています。この美しい蝶は世界各地で見られるものの、北米に生息する個体の渡りは一種の自然現象と考えられます。モナーク蝶は、環境条件が整うと、ただちにエリー湖を渡り、最終目的地のメキシコ中央部にある山脈をめざします。
➢ カナダ楯状地の海岸線も秋になると紅葉に。この秋の彩を楽しむには、トレント・セバーン水路国定史跡からの眺めが最高です。この水路では、レンタルのボートやカヤックが利用できます。オンタリオ湖やヒューロン湖ともつながる全長386キロの歴史ある水路で、ところどころに水門が設置されています。あちらこちらにシャッターチャンス：秋の訪れとともに水路の穏やかな水面には赤やオレンジの葉が浮かびます。
➢オンタリオ州南東部のアルゴンキン州立公園には、毎年美しい秋色をまとう25種ほどの樹木があります。真っ赤なメープルの葉、ところどころに鮮やかな黄色と緑が点在する森を散策するもよし、ハイウェイ60のドライブもよし。ルート沿いにある眺望スポットからの眺めは秋真っ盛りの景色が満喫できます。紅葉狩りの旅を計画するときに役立つのが、同公園が発表している紅葉情報です。

オタワ：オンタリオ州の州都・オタワでは、紅葉シーズンになると、標高の高いエリアの紅葉にスポットライトを当てたさまざまなテーマの催し物やドキドキワクワクのアクティビティが盛りだくさん。
➢毎年10月に3週間にわたって開催されるイベント「フォール・ラプソディ」は、この季節ならではの一大スペクタクル。オタワの都心部を取り巻くように設置されたグリーンベルト（自然保護区）の紅葉を盛り上げます。
➢オタワ・バイプレーン・アドベンチャーズでは、1930年代を思わせるクラシカルな複葉機に乗り、風防もない開放型操縦席から紅葉を眺める空の散歩を企画しています。
➢ オタワのダウンタウンから15分、ケベック州ガティノー近くにあるアルペンスキーの拠点、キャンプ・フォーチュンでは、森林の高所に張り巡らされた吊り橋を歩くツリートップ・ウォークから、眼下の紅葉を見渡すことができます。この空中散歩体験は、2022年9月にオープン予定。ガティノー公園を見下ろしながら爽快に滑り降りるジップラインとロープのコースがあります。上空から紅葉を楽しむのにぴったりです。

オンタリオ州東部：州内の東部各地では、秋の到来とともに圧倒的な自然美に包まれ、水上から、ロードサイドから、さらには公園内で紅葉を満喫できます。
➢オンタリオ東部のキングストン、ロックポート、ガナノクエの各地から、大小さまざまな島が浮かぶ風光明媚なサウザンド・アイランズへのクルーズ船が運航されています。セントローレンス川両岸や島々の岸辺が紅葉で美しく輝いています。この絶景を高いところから眺めるなら、サウザンド・アイランズ・タワーがお薦め。高さ1000メートルから、秋の輝きをまとった島々の姿を堪能できます。
➢ オンタリオ州北岸に接するノーザンバーランド郡には、紅葉がとことん楽しめる秋のドライブルートがたくさんあります。ゆるやかな起伏のある丘陵地帯や森、湖畔をドライブしていると、日差しを受けて輝く美しい紅葉が。秋の魅力にどっぷりと浸かるドライブを堪能できます。
➢ ヨーク地方はトレイル、公園、自然保護区、森林が多く、秋色に染まった大樹にあふれています。5000万平方メートルの森林保護区を擁するルージュ・バレー公園は、この地域で紅葉が楽しめるベストスポットの1つ。また、イースト・ホーランド川沿いに整備されている全長20キロのノキーダ・トレイルの一部にも秋色に染まった落葉樹の木立ちがあります。