雪の上を歩くために先住民の人たちが生み出したスノーシュー(かんじき)は、木の枠組みと、皮革をより合わせた紐で作られています。その紐や網のような部分を見ると実に細かいつくりになっていて、それはきっと何世代にも渡る経験を経て到達した1つの様式美だと感じさせられます。降り積もった雪の上を沈まずに歩けるよう工夫を積み重ねたことで、機能性に富み、工芸品のような美しさを合わせ持つスノーシューが出来上がったのでしょう。
一方で現代のスノーシューは、アルミやゴム、プラスチックなどの素材からできています。これらは強度が優れており、スタイリッシュですが、基本的な構造や機能面は先住民族の知恵を拝借したもの。しかし、その佇まい、その美しさにおいては、木の枠組みと皮革でできた「元祖」の足元にも及ばないでしょう。冬のカナダを訪れたら是非、スノーシューを履いて雪の中を歩いてみてください。
先住民の人たちが歩き、ヨーロッパからやってきた人たちもスノーシューの存在を教えてもらい、やはり雪の中を同じように一歩一歩移動していきました。イエローナイフでは、ガイドの人から周囲の自然について教えてもらいながら雪の中の散歩を楽しむ「ネイチャーウォーク」ツアーが設定されています。自分の足で、自分の力で、自分の意思で雪原を歩けば、人々が一歩一歩、雪を踏みしめて歩いたからこそ、広大なカナダが形作られていったことを実感できることでしょう。