新型コロナウィルスや世界情勢に加え、デジタルに大きく依存したライフスタイルなども相まって、心の充電や心身の安らぎを求める思いはますます高まっています。2022年も終わりに近づいた今、身体的な健康だけでなく、精神面、情緒面、スピリチュアル面など心の健康を気遣い、ウェルネス志向の旅先に関心が集まっています。2022年も終わりに近づいた今、身体的な健康だけでなく、精神面、情緒面、スピリチュアル面など心の健康を気遣い、ウェルネス志向の旅先に関心が集まっています。
市場規模が一気に拡大：世界的に見るとウェルネス市場の規模は4兆3700億ドルと見られ、専門家の間では年およそ10％のペースで成長を続けると予測されています。ウェルネス観光だけでも市場規模は4360億ドルと言われます。この観光とウェルネスという2大産業の組み合わせに追い風となっているのが、自宅から離れているときにも健康的なライフスタイルやウェルネスの活動を維持したいと考える旅行者の期待です。
だからこそカナダ：ウェルネスのトレンドに乗る絶好のポジションにある国がカナダです。広大な国土、感動的な景色、地産地消を重視する姿勢などもあって、地元の人々にとっても旅行者にとっても、ウェルネス志向のライフスタイルが満喫できます。また、古来、心身のウェルネスを大切にしてきた先住民ゆかりの地や先住民文化の体験も豊富です。多くの先住民にとって、ウェルネスとリラクゼーションは根底でつながっていて、土地への敬意が背景にあります。カナダ各地で先住民とゆかりのある企業が、穏やかさや癒しを前面に押し出したツアーや体験を企画しており、自然あふれる世界との対話を通じて、自分を見つめ直すことができます。
健やかになれる場：今回、カナダ観光局では、カナダ各地の人気のスパやウェルネス系のアクティビティを紹介します。バンクーバー観光局からは、BC州ならではのどこまでも続く大自然やそこに生息する野生動物、豊かな先住民文化などを「BC効果」と銘打って、旅行者にご紹介します。ユーコン観光局では、北国だからこそ味わえる自然とのつながりを安らぎや充電に生かす旅の紹介に力を入れています。アルバータ州のバンフ・レイク・ルイーズ観光局からは、バンフ国立公園を舞台にしたさまざまなウェルネス系のアクティビティやアトラクションをご紹介します。
BC州トフィーノの水上スパ・リゾート、ケベック州ケベックシティの修道院での宿泊、アルバータ州バンフ国立公園での森林浴など、都会の喧騒を逃れ、疲れ切った身も心もたっぷりと癒すことができるスポットがたくさんあります。早速いくつか紹介しましょう。
ブリティッシュ・コロンビア（BC）州
➢グレートベア・レインフォレストの南東部、爽やかな山の空気、ひんやりとした海に囲まれた環境に佇む高級ウェルネスリゾート、ニモ・ベイ。同リゾートのゲスト向けに、鳥の鳴き声や滝音をBGMに、心身を癒すことができる屋外マッサージがあります。太平洋でダイビングを楽しんだら、スギ薫る熱々のホットタブでほっと一息。アウトドアのヨガ・クラスで締めくくりは、仰向けで静かに横たわる「シャバーサナー」のポーズで究極の癒しのひとときを。1日アドベンチャーを楽しんだら、カヌーで水上のサウナへ。ここのスチームサウナでしばし瞑想に浸り、続いてキャビンに戻って健やかな眠りにつきます。
➢ ネルソンにあるマウンテン・トレック・フィットネス・リトリート＆ヘルス・スパは、ハイキングやウェルネスの玄関口を探しているウェルネス志向の旅人にぴったり。木々に覆われた山の中に佇み、眼下にクートニィ湖が広がります。このリゾートでは、全行程3〜4時間のノルディック・ハイキング三昧。トレッキングポールを手に、全身の筋肉の90％を動かして心拍数を上げることができます。また、ヨガや、カーディオ・キックボクシング（有酸素運動とキックボクシングを組み合わせた運動）のメニューもあります。さらに、屋外ジャグジーやプランジプールを備えた最先端のスパも完備。また、食事は、カフェインや砂糖、加工食品など体内炎症につながりやすい「炎症性食品」の摂取を避けたヘルシーなスパメニューを用意しています。
アルバータ州
➢日本発祥の森林浴がかつてないほどの人気を集めています。大自然の中に身を置き、ストレスを解消したり自分を見つめ直したりする人が増えています。バンフにあるフォレスト・フィックスでは、バンフ国立公園でガイド同行の森林浴体験を実施しています。マインドフルネスを高め、自分の五感を研ぎ澄ませるひとときを過ごせます。森林浴のメリットには、不安、ストレス、怒りの軽減、創造性やエネルギーの充実、免疫力強化などが挙げられます。フォレスト・フィックスでは、ハイキングをしながら、山の絶景の中でヨガを実践する「エコ・ヨガ」と呼ばれるプログラムも用意しています。
ケベック州
➢ケベックシティのル・モナステール・デ・オーギュスタンは、ウェルネスとカルチャーが充実したスポット。400年以上の歴史を持つ心身の癒し術として、ホリスティック志向の健康づくりに特化しています。オテルデュー・ド・ケベック修道院の一部をなす同施設は、宗教的というよりもスピリチュアルな雰囲気が強く、休息・回復・自己発見を重視した宿泊プランが用意されています。復元された回廊を利用した宿泊施設のほか、静寂の中で味わう栄養満点の朝食、ヨガや太極拳、ボディワークセラピー、健康相談などが含まれたパッケージもあります。新しい「美術館療法」の展覧会「リ・コネクト」（会期は2024年5月20日まで）もお見逃しなく。歴史的な作品をじっくり鑑賞することで、自分自身を見つめ直すきっかけにする活動です。
➢イースタン・タウンシップスにあるバルネアでは、清い暮らしや自然とのつながりを実感できます。 161ヘクタールの保護区に佇む隠れ家的なスポットには、湖畔のヨガ、山のハイキング、スエット・ロッジ（先住民式のドーム型蒸し風呂）、「温・冷・休」の儀式をモチーフにした温熱体験など、さまざまなメニューがそろっています。バレナ周辺のさまざまなホテルが、スパを盛り込んだパッケージプランを提供しており、ゆったりとした滞在をさらに充実させることができます。
オンタリオ州
➢アルカナは、新しいアウトドア体験のブランド。2021年、トロントから北に2時間の森の中にキャビンが誕生しました（正確な位置は予約したゲストだけに伝えられます）。各キャビンは、広さ26平方メートルほどのコンパクトな造り。周囲には、メープルの古木のほか、カバノキ、マツなどの森が広がります。食事は、ゲスト自身が作りますが、材料は実力派のシェフが準備してくれるミールキットなので安心。事前予約しておくと、チェックイン時に部屋の冷蔵庫に食材が用意されます。また、スギを使ったサウナにはプランジプールが併設されています。メインのキャビンには、ゲストが自分で作るハーブティーも楽しめます。周囲には16キロに及ぶウォーキング・トレイルが整備されています。
サスカチュワン州
➢ 1000以上の湖があるサスカチュワン州。その1つ、リトル・マニトゥ湖は、伝説の癒しの水をたたえた湖として知られ、浮力が強いため、体が自然と浮いてきます。「カナダの死海」と言われることからもわかるように、一般的な海の5倍の塩分濃度を誇ります。昔から治癒力がある水と言われているのは、このためです。実際、地元の人々はもちろん、観光客も、関節炎や関節痛、さまざまな皮膚症状が改善したと口々に語っています。1930年代にビーチやスパ、レストラン、バー、ゴルフ場などが整備されて観光地化が進みましたが、この土地に古来から暮らしている先住民の間では、この魔法の水は昔から知られていました。
ニューファンドランド＆ラブラドール州
➢ ニューファンドランド＆ラブラドール州唯一のファームステイ型B&B（朝食と宿泊の簡易な宿）、アッパー・ハンバー・セトルメントは、グロス・モーン国立公園から目と鼻の先、コーマックにあります。2.4ヘクタールのパーマカルチャー（完結自給型農業開発）型農場では、トマトや根菜類、各種穀物を栽培しているほか、すぐ隣の〝フードフォレスト（おいしい森）〟では、果樹やベリー類も育てています。また、焚き火を囲みながら、オーナーのローラリーが先住民に伝わるさまざまな体験や、メディシン・ホイール（古代に先住民が作った一種のストーンサークル）の意味などを教えてくれます。
ユーコン準州
➢凝りをほぐしてくれる至福のマッサージに、夜空に広がるオーロラという、夢心地のひとときが楽しめるのは、ノーザン・ライツ・リゾート＆スパ。ホワイトホースからほど近い家族経営のロッジで、前面がガラス張りの素敵なシャレー。床から天井まで届く大きな窓の外には、見事な風景が広がります。のんびりとくつろげるログキャビンは、地元産の木材が使われています。スパのメニューには、フィンランド・サウナ、赤外線サウナ、ジム、定評あるマッサージ、屋外ジャグジーなどがあり、ジャグジーで温まりながら夜空のオーロラを観賞することも可能です。
旅のヒント
