ニューファンドランド島沿岸は、グリーンランドや北極圏で数万年前に降り積もった雪が凍って氷河となり、そこから崩れ落ちた巨大な氷のかたまりが「氷山」となって海に流れ出す「アイスバーグ・アレー」の通過地点となっています。氷山ウォッチングツアーでは、この自然界の巨人の姿を眺めます。氷山ウォッチングのベストシーズンは毎年5月中旬から6月中旬。沿岸から眺めることもできますが、氷山ウォッチングのボートツアーに参加すれば、この奇跡のような自然の構造物に近づくことができます。その海上に浮かぶ神秘的な姿は実際にその目で見た人にしかわからない特別なものなのです。

カナダには大自然を満喫できるハイキングスポットが数えきれないほどありますが、ニューファンドランド島の西岸に位置するユネスコ世界遺産のグロスモーン国立公園は、圧巻の景観の中で、地球の偉大さを感じる広大な大地を歩くことができます。公園内には、気軽に楽しめる30分ほどのトレイルから、山頂まで登る上級者向けのハイキングトレイルまであります。また、公園の南部にある赤茶けた巨大な台地「テーブルランド」は、プレートテクトニクスによる大陸移動が地上にマントルを現出させたもの。その上を一歩ずつ歩いていくと、まさに「地球の鼓動」を感じることができるでしょう。

ノバ・スコシア州は、北米でも有数の暗く澄んだ夜空が広がり、神秘的な星空をその目で見ることができます。中でもユネスコ回廊の「南西ノバエコパーク」のヤーマス&アカディアショアーズ地域にある「ザ・アカディアン・スカイ&ミクマク・ランズ（The Acadian Skies & Mi'kmaq Lands）」は、北米で初めてスターライト認証を受けた場所。かつてこの地域をアカディアと名付けた探検家サミュエル・ド・シャンプランは、北極星とアストロラーベ（天文学者が用いた天体観測用の機器）を頼りに大西洋を渡りましたが、夜空に広がる満天の星を眺めながら、そんなシャンプランの壮絶な航海を想像してみましょう。

ホープウェル・ロックス州立公園では、世界最大の干満差を誇るファンディ湾の自然の力を体感できます。まずは干潮の時に露出する海底を散策してみましょう。そこには壮大なフラワーポット・ロック（花瓶岩）、何千年もの歳月をかけて岩が侵食されて形成された独特の地形が広がります。多くの観光客が集まる「恋人たちのアーチ」と呼ばれるアーチ形の岩も印象的です。足元の柔らかい“泥”の感触を感じながら歩いていると、周囲の岩に複数の海藻が育ってることに気づきます。実際に歩くことで、ファンディ湾の奥深さを知ることができます。
そして、満潮になると全く別世界へと姿を変えます。潮風と波の音、水面に反射する光を見ていると、その生命が宿っているかのような自然の驚異に圧倒されます。満潮のファンディ湾では、ガイド付きシーカヤックツアーに参加しましょう。フラワーポット・ロックの壮大な海食柱の近くを漕ぎながら、ファンディ湾の巨大な潮の力と岩の美しさを間近で感じることができます。経験豊富なガイドが伴走してくれるので、冒険心さえあれば誰でも安心して参加できます。

美しい風景が連続するアトランティック・カナダはサイクリングに最適な場所。中でもプリンス・エドワード島（PEI）は、コンフェデレーション・トレイルやハイウェイ沿いの起伏のある丘陵地帯など、サイクリストにとっておすすめのコースがたくさんあります。さらには豊かな森にはマウンテンバイクコースも充実しているので、上級者にとっても新しい発見が見つかります。絵葉書のような海岸線を走り、休憩の合間に地元のサイクリストと言葉を交わす。そんな心もカラダも充実するアクティビティです。

美しい風景の中で、馬にまたがり、優雅な時間を過ごす喜び。プリンス・エドワード島（PEI）では、馬と一緒に広々とした草原を駆け抜け、静かな林道を曲がりくねり、砂浜を小走りに走ることもできます。現地のガイドが、ゲストの性格や経験に合わせて馬を選んでくれるので、初心者でも安心です。

ニューファンドランド&ラブラドール州は、世界有数のホエール・ウォッチングスポット。毎年、5月中旬から9月にかけて、15メートル近くにまで成長するザトウクジラの群れが、沖合に生息するシシャモやオキアミ、イカを目当てに、このエリアに戻ってきます。このほかシャチやゴンドウクジラなど21種ものクジラやイルカが集まります。クジラを追って船に乗り、巨大な尾ビレが海面に躍り出たときに胸が高鳴る感動を体験してみましょう。

ゾディアックボートに乗って、世界で最も高い潮流の力を感じるアドベンチャー体験を。ノバ・スコシア州のグリーン・オークスでは、ファンディ湾からの水が浅瀬のシュベナカディ川水路に流れ込み、波が発生します。そして波が通り過ぎた後、川は方向を反転させて内陸に向かって流れ始める「タイダルボア」という自然現象が起こります。地元のラフティング会社「Fundy Tidal Bore Adventures」が案内するツアーでは、特注のゾディアックボートでラフティングを楽しみます。ツアーではマッドスライディングで全身で泥まみれになって遊ぶことも。全て経験豊富なガイドたちが案内するので安心して楽しめます。

ニューファンドランドの歴史においてタラ漁を中心とした漁業は特別な存在です。数百年前から人々の生活と漁業は切っても切り離せない関係にあります。それは今も変わらず、島の人々は夕食のために海から新鮮な魚を持ち帰るだけでなく、時間を見つけては、釣り竿とリールを持ってリラックスしています。あなたもニューファンドランドを訪れたら、ドリーと呼ばれる小型船の漕ぎ方や網の編み方を学んで船に乗ってみましょう。頭上を旋回する海鳥を眺めながら、自分で魚を捕まえて、チャンスがあれば地元の人と一緒に料理してみる。そんな他では味わえない物語が詰まったフィッシング体験ができるはずです。

世界ジオパーク「ストーンハンマー世界ジオパーク」を代表する場所であり、アメージング・プレイスにもリストアップされている海食洞。ここはロックハンター、バードウォッチャー、自然愛好家たちを虜にする場所で、砂岩の洞窟はファンディ湾の潮の満ち引きによって削り取られたもの。洞窟へ近づくと、その神秘的な自然美に迫ることができます。ガイドが湾の自然史について語るのを聞きながら、砂浜で化石を探してみるのも良いでしょう。また、満潮時にカヤックでパドルを漕いで、何百万年もの歳月をかけて削り出された、赤い岩の断崖の海岸線を眺めてみるのもおすすめです。